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IT革新と経営戦略に関する考察:Analysis on Innovation of Information Technology and strategy

「新しい時代の企業経営とは何か?」

(テーマ)

IT革新による企業経営

IT革新と経営戦略に関する考察

武上 幸之助

日本福祉大学

横浜市港北区下田町1-16-19

045-563-5061

2000.9.21


IT革新と経営戦略に関する考察

-Analysis on Innovation of Information Technology and corporate strategy-

日本福祉大学情報社会科学部助教授

 武上 幸之助

(目次)

1.情報とIT特性要因

2.市場戦略のパラダイム

3.ITビジネスの類型化

4.米国のIT政策

5.ITと市場行動モデル

結語

注釈と参考文献

(内容)

1.情報とIT特性要因:情報特性の分析

「情報」(注1)とは「社会的有用価値を生み出す為、行動、意思決定に役立つように、その目的に沿ってデータを収集、選択、分類、加工、処理をおこない分析、解釈したもの」(注:山下達哉他「現代情報管理用論」p185.同友館19946)また、「伝達のため選択され組織化されたデータであり、表示・記号等の手段によって事象のもつランダムネス(曖昧性)を減じ、不確実性を減少させ、それを通じて主体の意思決定に影響する機能をはたすもの」(注:宮沢健一「業際化と情報化」有斐閣p71988.尚、日本工業規格JIS:「データに対する体系的実行」)等様々な解釈が存在するが、本稿でその情報特性の効果から分析するなら、その特性を以下のように分類できよう。

情報特性

主要因

効果1

効果2

成果

処理(プロセス化)

変換

結合・分割・複製

分類・並べ替え・検証

加工化

蓄積(ストック化)

記録

保存

再生

構造化

伝達(フロー化)

通信

共有

内部化・外部化

記号化

表1:情報特性の分析

Takegami.2000

尚、情報技術ITInformation Technology)においては、上記の情報特性を応用し社会的有為性を高める手法として考察を進める。情報伝達・通信に関するShannon(Claude E Shannon )「情報理論の数学的基礎」1948.にて、情報社会での価値、及び有為性の観点から情報形態分類が以下、図られている。

Information:    形式的次元でのデータ・記号・符号流通に係わる情報

Communication:  人間、組織内外間の伝達活動

Transaction:    商品、貨幣流通に関する情報伝達

 Shannonは情報理論構築に際し、情報の新規性、希少性、有用価値、複製による共有性の面から基礎理論化したが、現在の情報価値は経済社会の有為性、内容意味の妥当性に重点が移行し、国際間での共通価値解釈や認識の一致が要件となる。これはISOコードとして認知される。(インターネットを介した文字、映像、音声、データ符号化:文字符号ISO646によりASCIIコードが設定、ISO取得言語は文字符号標準UCSUniversal multiple-octet coded Character SetISO10646で表される。

尚、シャノン第一原則:任意情報は情報量で示されるビット数で符号化できる。シャノン第二原則:通信路に対してその誤り率で決定される通信路容量が定義される。通信路容量以下の伝達速度では、適当な符号化により誤り率を限りなく0に近づけた通信が可能となる。以上は後に情報量の定義においてISOコード化に貢献したと言われる。

ITの導入により、情報の持つさらに以下の社会的有為性の要因が企業において戦略的に選択され、経済のソフト化、ファブレス化が進展するとされる。

①統合化(文字、音声、画像等がデジタル処理され同媒体での流通が可能になる)

②インタラクテイブ(双方向性により対話式コミュニケーションが可能)

③即時性(アクセスが時間と範囲の制約なく可能)

④ヒューマンインターフェイス(安価で利用が容易)

⑤情報共用化(オープンネットワークにより情報アクセスと公開が容易化)など

これらの要因と市場情報の結合により従来に比べ新たな経営戦略の構築が可能になった。例えばマーケテイング分野では、DBマーケテイング(顧客情報の蓄積)、DB共有化と組織連携(DBのリアルタイムの活用と組織外とのDB共有)、インタラクテイブマーケテイング(顧客への即時対応)等である。

ITを例に取る技術革新による経営環境の変化(①サービス市場の競争②通信、物流の円滑化③ビジネスモデル特許など国際取引基準の形成他)は、市場情報(market information)の分野で特に生じるであろう。ITによる市場情報とは、市場戦略、市場アクセス、市場機会、市場退出等、企業の市場行動に指針を与え、市場取引慣行に新たな変化を生じさせる要因である。またその点で市場情報格差(デバイド)が今後の課題となるであろう。また市場の変化に対応して企業の経営戦略にも大きな変化が生じている。本稿では、特にIT化における市場情報と市場戦略のパラダイムをここで先ず概観する。次いでこのパラダイムにおいて新たな経営戦略の構築パターンと企業の市場行動モデルについて分析を行う。

.市場戦略のパラダイム:情報技術と市場戦略の整合性

2-1IT生産性パラドックス

図1:IT戦略のパラダイム

 ITによる経営戦略のパラダイムを、以下の基軸を中心に基づき構築してみる。

①「経営理念」:ITを経営に導入する指針で経営の最上位に存在する方針

②「IT技術開発」:コア技術とそれを巡る新製品開発でラインに該当

③「市場開発」:新規市場形成と旧市場の再編による製品戦略の上位に存在

④「信頼性」:新規性と安全性、また環境対応で戦略の根幹になる基軸

以上をマトリクスすると図1のようなパラダイムが描ける。技術開発におけるリスクテイキングはベンチャー性に結合し、リスク回避はルーテイン性に結合傾向があることから、特に導入期のITビジネスでは技術開発と経営理念は常に整合性があるとは言えない。また製品の信頼性と需要創造も対極に位置しパラドックスの関係を持つ。(注2)

IT技術も同様に、常にその開発と導入が経営戦略に対し整合性を持つとは言えず、特に日本の製造業においてIT技術の導入が新規需要を創造し、効果を上げる一方で、非製造業ではIT投資リターンが負となる傾向も見られる。情報技術と経営戦略のパラドックスはITの生産性パラドックスにも関連し、IT技術導入が必ずしも需要創造に結びつかないトレードオフの関係にあることを示している。この数値分析は後述する。

需要創造

製品開発

市場開発

IT技術開発

Risk

Taking

Originality

独創性

Challenge

新規性

ベンチャー性

経営理念

Risk

回避性

Reliability

保証性

Stability

安定性

ルーテイン性

製品戦略

経営戦略

信頼性

 IT戦略の領域を設定するに上記4基軸は、①経営理念・コンセプトであり経営者意思決定のコア。②技術開発。コア技術による製品と市場の開発。③市場開発。新規市場開発、既存市場再編、特殊市場形成。④信頼性確保。ネットワーク確保等の手法となる。技術開発と経営戦略を基軸に技術と経営戦略のトレードオフ関係を以上に図示した。

ここで従来のビジネススタイルとの比較すると、ITビジネススタイルはリスクテイキングを前提に以下のように特徴付けられる。

図3:IT革新によるビジネススタイル

経営ビジョン

従来のビジネススタイル

IT導入によるビジネススタイル

経営目的

シェア、売上極大化

適正利益、CSの極大化

経営戦略

規模の経済性、

コストダウン

業界標準(DefactoStandard

による囲い込み

マーケテイング

差別化、競争戦略

顧客DBによるリレーショナル化

経営組織

クローズ的職能、

機能別階層組織

フラット型オープン組織

適正規模。

PAL(共同出資pooling,

提携aligning, 結合linking)

                                (Takegami.2000)

2-2ITと市場情報の完全性

 市場情報とは、消費者行動のパターンに影響を与える要因であり、市場取引について

①直接構成する要因:製品銘柄、購買時期と場所など

②消費者自体の持つ要因:知覚、パーソナリテイ、購買動機など

③コミュニケーション要因:広告、パブリシテイなど

が挙げられる。この要因は最もIT導入化により効果が期待される。

(奥田和彦、阿部周造「マーケテイング理論と測定」p9192 中央経済社‘87

 IT導入の及ぼす市場への変化は①新規市場の創造②既存市場の再編③特殊市場の形成が挙げられる。一般に市場情報は製品が付加価値と仕様が高度化するに従い複雑な市場情報を伝える必要が生じ、消費者側での情報不完全性が大きくなる。一方、成熟市場においては消費者需要を把握する困難性は大きく、供給者にも情報不完全性が高まる。その結果、市場での取引コストが上昇し、市場取引の組織内部化が図られる傾向、また市場を構成する企業間競争関係、取引での上下流関係との取引関係に影響が大きくなる。ITは市場構造と競争者関係に新たな変化を生じさせる。市場構造は、企業が、企業の競争行動と企業間の協調行動により市場成果を達成する「場」の条件であり、これにより市場での収益率、製品と工程の革新率が決定される。完全競争化では情報は完全であり、不完全競争化(寡占)では不完全情報となる。完全競争下で企業は競争が最も激しく、限界利益しか生じない。完全競争の条件は①多数の競争者②製品の標準化③市場への自由参入④市場からの自由退出⑤競争者の情報と市場情報が直ぐに伝達され市場構成者である企業と消費者が正しい判断が可能な状況下において実現される。(情報の不完全性) 

 不完全競争下であるほど各企業において競争条件の不完全性(情報の不完全性)が生じ収益の市場機会が得られる。(注:事例としてSIS分野でのスンマイム・ミットマン原則においてもITの以下に示す6つの戦略要因として:経営資源の集中、低コスト、差別化そして情報不完全性が競争優位性を与える。

①市場、顧客との連携強化、ネットワーク経済性

②自社市場の防衛と他社の参入阻止

③代替品参入阻止

④低コスト実現

⑤商品の差別化徹底

⑥ニッチ(隙間)市場の発見とプライスリーダーシップ、市場主導権の掌握)

特にここで指摘したいことは、情報が完全であれば競争要因は比較的単純になり価格性能比により市場での購買が決定され市場全体の付加価値を最小化する一方、市場参入退出が自由に行われ市場成長、衰退が加速化する。情報不完全な市場では製品の複雑性と消費者ニーズの不確実性が大きくなる一方、市場全体の付加価値も高まるが市場寡占、独占化が進展し価格維持等が生じることである。またITにより競争条件が情報完全性の大きいコスト要因に基づく競争か、情報不完全性の大きな差別化要因に基づく競争か、そのどちらかへの選択性が強まると考えられる。

2ITと競争条件

Cost leadership

Differentiation leadership

Managerial Resources

Long term investment

Process engineering

Management of labor

Low cost distribution

Marketing ability

Creativeness

R&D

Product development

Managerial Organization

Cost management

Formulation

Numerical standard

Venture ability

Specialization

Value standard

                                                         (Takegami 2000)

  23 ITと市場取引コスト

 情報の不完全性は、市場取引の複雑性の増大にも影響する。特に市場での取引コストの大きさについての要因は①市場構成者(企業と消費者)間の相互依存性②取引状況の不確実性③取引内容の測定不可能④取引相手の数である。成熟市場段階に至り取引の複雑性が増大すると取引の内部化とアウトソーシングが進む一方、中間組織の形成が行われる。物流、広告、小売支援サービス等を外注するか内製するかの選択において、しばしば環境適応を高める、取引コストの軽減、要素の独立性を活用するため中間組織を作ることが図られる。 

3.ITビジネスの類型化

 ITビジネスにおいて、情報化の投資効果を事例から経済効果の類型を試みる。

ITビジネスの類型化において、以下の表から①企業の供給連鎖においての効率化、連鎖の結合形態②供給連鎖に於ける役割分担間の情報の形態設計などが利益源泉になる。

例えば、市場の拡大化の点では、広汎に分散する消費者ニーズを収集し成約率を拡大する。また分散する流通在庫管理と受注即納品体制の強化。インターネット通販による営業経費削減。製品開発期間の短縮化。ロジステクスにおいての流通効率化。ユーザーサポートや消費者教育。さらには市場ニーズのフィードバック。また顧客にたいする製品情報提供サービスなどが掲げられる。

3ITビジネスの類型と価値創造

ITビジネス類型

事例企業

IT技術

価値創造

指標

成約機会拡大

アマゾン

オークネット

受発注システム

オークション

需給調整

契約・成約率

在庫管理向上

デルコンピュータ

受注即生産

製版体制確立

流通在庫減少

在庫回転数

営業経費削減

ミスミ

オートバイデル

インターネット通販

価格公正化

営業費

製品開発期間短縮

ボーイング

-D CADによるコラボレーション

製品開発の迅速さ

期間短縮

開発期間

開発コスト

ロジステクス

プラネット

バーコード

ピッキングシステム

分散在庫と流通在庫管理。流通コスト低減

在庫と中間マージン削減

インタラクテイブサポート

ニフテイ

JW-CAD

電子会議システム

ユーザーサポート

サポートサービス

市場ニーズフィードバック

シチズン

ライオン

インターネット会議室・フォーラム

市場対応型製品開発

市場反応

顧客へのDB提供

フェデラルエクスプレス

データベース検索システム

約定品追求システム

コンシューマーサチスファクション

Hitotsubasi Business Review vol.46 No.2 1998 p38を全面修正。Takegami 2000

4.米国のIT政策

4-1.アンレギュレーション

米国企業において、ITを活用し業務プロセスを改善、確立することにより業績向上を図るリエンジニアリング手法から、企業組織のフラット化によるダウンサイジング、リストラクチャリング、経営資源の効率的運用のためのM&Aが盛んに導入された。そして以下、連邦IT政策はB2BBusiness to Business,B2C(Business to Consumer)を基軸に、コンピュータネットワーク基盤にヒューマンインターフェイスされたソフトウェアアプリケーションを用い、米国と世界を前提とした広域サービスを総合的、包括的に可能とする情報基盤の整備(19939.Information Super Highway Project.米国国務総省)である。さらにコラボレーション、コンカレントエンジニアリングの概念導入等IT技術の産業導入が急速に図られた。またIT分野のデファクトスタンダードの形成により、ITの殆ど全ての分野で米国がイニシアチブを持つに至った。

リエンジニアリングを中心とした米国の企業経営では、情報ネットワークを介した情報共有と組織外部との連携、即ちコアコンピタンスへの特化とアウトソーシングの活用が改めてIT導入により強化された。しかし日本企業においては系列を通じた連続的かつ限定された狭い分野にITが導入されるケースが多く、IT投資の投資効果、波及効果が限定的である。また製造業においては著しくIT投資効果が計測される一方で、非製造業分野では負に作用する場合が報告(FRIリポート:日本企業におけるIT投資の生産性19989松平)されている。

-2.米国IT企業による製品開発事例

連邦IT研究においては、先端コンピューティング技術、大規模ネットワーク基盤技術などに加えて、人間、コンピュータ及びネットワーク情報資源がともにより効果的にかつ透明性をもって相互作用することを可能にする技術[人間中心型システム(Human Centered System: HuCS]の開発にも大きな投資を行っているが、連邦政府では、21世紀ネットワーク基盤社会において、HuCSが、ネットワークアプリケーションの普及にとって将来を担う技術であるという認識を持っている。 実際、HuCSに関連する技術は、ITの普及の観点から最も社会的にインパクトを与える可能性が高く、連邦IT研究の成果のうち、HuCSに関連する成果の占める割合も高い。既にHuCS研究による一部の成果が、ビジネス、産業、研究、教育、市民生活を含め、広範囲の分野にわたり大きな影響を与えはじめている。以上を踏まえここでは、HuCS を中心とした、社会的に大きな影響を与えている連邦IT研究の成果(プロダクト、サービス等)事例を以下、概観するとそこにビジネスモデル特許(ビジネスメソッド特許)が関連する事が推測できる。

4:連邦IT研究によるプロダクトサービスの事例

分野

名称

開発元

特 徴

商用化/普及状況

バーチャル・リアリティ・システム

CAVETM

University of Illinois(シカゴ校)

 遠隔データベース、スーパーコンピュータ、科学器機などをつなぐ高速ネットワークを介して複数のユーザーが、同一仮想環境を同時に共有し、協調して作業を行うことが可能。

・現在、Fakespace Systems Inc.により商標登録されており、数多くのCAVEライブラリ及びアプリケーションが販売されている。

ImmesrsaDeskTM

NCSA (

National

Center

for Supercomputing Applications)

CAVEよりも操作が容易で、低コストの準没入型バーチャルリアリティ・システム(製図机サイズ)。
 ステレオ・グラス、マグネティック・ハンド/ハンド・トラッキング及び投影型システムを使用して、二次元のバーチャルリアリティ環境を作り出すことが可能。

 現在、CAVEと同様にFakespace Systems Inc.により商標登録・販売されている。

コラボラトリ
(協働研究環境ツール)

Electronic Notebook
(電子ノートブック)

Oak Ridge National Lab.

Lawrence

Berkeley

National Lab.

Pacific Northwest

National Lab.

・互いに遠隔にいる研究者(理論、実験、シミュレーション等の各専門家)が、デスクトップコンピュータ上で、コラボレーション・セッション(リアルタイム遠隔会議、遠隔実験など)中に、アイデア、実験データ、解析結果(画像を含む)、会議内容等情報を電子的にメモ・記録し、互いに共有、編集することができるシステム。

DOE2000におけるコラボラトリ・プロジェクト(MMC, DCC)で運用され、全米で100以上の研究グループで使用されている。

CORE2000

Pacific Northwest

National Lab.

・ネットワーク上で、ワンクリックで、リアルタイムのコラボラトリ・セッションを開始、あるいは、セッションに参加する機能を提供する、統合的なコラボラトリ・エンジン。

・現在、DOE(エネルギー省)の環境分子科学研究(コラボラトリ・プロジェクト)で利用されている。 ・アメリカ科学研究界における、コラボラトリ環境の雛型になる可能性がある。

人体構造デジタル画像データセット

Visible Human

NLM(国立医療
ライブラリ)/NIH(国立衛生研究所)

 男性及び女性(死刑囚の献体)の断面画像(冷凍した献体を薄くスライスし、その断面をデジタルカメラで撮影した画像)、CTMRI画像を電子化した、三次元解剖学的データベース(Visible Humanデータセット)。

NLMにより、Visible Human Project®として使用許諾に関するライセンスが発行されている。現在、既に41カ国にわたり1,200以上のライセンスが発行されている。
 アメリカ内外の企業、大学、研究機関等により、Visible Humanデータセットを利用した幅広い領域の製品(対話型の人体二次元/三次元ビューア、人体シミュレータ、人体アトラスなど)が数多く開発されている。

双方向型三次元地形ナビゲーション・システム

Terra VIsion

SRI International

・分散双方向型の地形ビジュアリゼーション・システム。
・地表景観の標高データ及び航空/衛星画像から生成される実際の景観の三次元グラフィック表現を通して、ユーザーが、双方向的にリアルタイムで高速ナビゲーションすることが可能。
・すべての地形データをVRML (Virtual Reality Modeling Language)を使用して記憶しているため、Web上でTerra VIsionデータセットを観るための、VRML標準のプラグインを行うことが可能。
・将来的には、地球全体の高解像度地形モデル(地表面:1mの解像度)を生成する予定。

・軍用システムからのスピンアウト・プロダクト。
・緊急時(森林火災など)計画、防災戦略計画立案などを含め、幅広いアプリjケーションに適用が検討されている。
・インターネット上で、Terra VIsionデータセットのダウンロードが可能。

三次元ビジュアル・シミュレーションモデル

Virtual Los Angeles

University

of

California

,

Los Angeles

(UCLA)

・ロサンゼルス周辺地域(10,000平方マイル以上)の景観に関する情報をデータベース化し、それをベースとして開発されたロサンゼルス近郊の完全な詳細さを持つ三次元仮想現実都市モデル。
 一般的なビジュアル・シミュレーション用のモデレータを利用して、衛星画像からロサンゼルスを望むようなイメージから、個々の道路、樹木、標識などが認識可能なイメージまで、幅広い範囲でズームイン/ズームアウトをおこなうことが可能。

Virtual Los Angelesデータベース及びモデリング技術を利用して、以下の例のようにさまざまなアプリケーションが開発・利用されている。
 三次元ナビゲーション・システム(GPSを利用して、ロサンゼルス市内における車両の位置をリアルタイムに決定し、移動中の車輛の窓の外の景観を表示することが可能)

オンライン気象/気候ビジュアリゼーション

CLIMVIS

National Climatic

Data

Center

(NCDC)

WWW上でNCDCから提供される利用可能な気象/気候データを可視化することができる、双方向型のビジュアリゼーション・システム。 ・アメリカが持つ世界の気象/気候モニタリングサイトからのデータを時刻歴グラフで表示し、アメリカ国内のさまざまな地域の気象/気候データをコンター・プロダクトとして可視化する機能を持つ。 

・本システムは、WWW上で利用するオンラインシステムであり、ワールドワイドで利用されている。 NCDCでは、本システムで利用可能な気象/気候データの普及・更新を継続的に進めており、NII(全米情報基盤)用に、一般公衆が利用できるシステムとして進化し続けている。

・教育目的としても盛んに利用されている。

農業意思決定支援システム

TisDAT

University of Wisconsin(Madison校)

WWWまたは人工衛星情報伝送システムから利用可能な衛星画像データ及び気象モデルとの組み合わせにより、農業管理意思決定をサポートするシステム。

・衛星画像を利用した、最初の本格的な農業管理アプリケーションであり、農業の効率化だけではなく、最近の異常気象対策システムとして注目されている。

会話認識システム

GALAXY

Massachusetts Institute of Technology (MIT)

・日常会話言語を利用して、ユニバーサルな情報アクセスを可能にする、会話型のインターフェース。

・分散型のクライアント/サーバーアーキテクチャを備えている。その会話インターフェースは、Xwindowsシステム下で稼動するクライアント・アプリケーション。

・本システムのモバイル版が、DARPA(国防高等研究計画局)のCommand Center of the Futureに設置。

・本システムをベースとしたJUPITER(ユーザーが世界500以上の都市のオンライン気象情報を電話回線で問い合わせでき、システム側でユーザーが要求するレベルの情報を提供する)がDARPAに提供されている。

デジタル・ビデオライブラリ・システム

Informedia

Carnegie Mellon Univ.

WQED

Pittsburgh

・オンラインのデジタルビデオ・ライブラリ上で、TV及びラジオ放送ニュースを含め、膨大な量の情報(数千時間放送分の規模)から完全コンテンツ検索機能を提供するシステム。

K-12(小・中・高等学校)教育用の双方向マルチメディア・アプリケーションが開発・利用されている。

オンライン地球・宇宙科学教育情報基盤サービス

Science Education Gateway (SEGway)

Space Telescope Science institute

University

of

California

Space Sciences Lab.

National Air and Space museum

Exploratorium

NASA科学者、科学博物館、K-12(小・中・高等学校)教育者などのコラボレーションによるプロジェクトである。WWW上で授業及び公衆利用のための地球・宇宙科学教材を開発することを目的とし、WWWベースのK-12用地球・宇宙科学情報資源を提供している。

・全米の学校教育で幅広く利用されている。

・科学者/教育者/博物館のコラボレーションにより、科学教育資源及びユーザー側の活発なネットワークが創出されている。

オンライン火山情報サービス

VolcanoWorld

University

of

North Dakota

WWW上で、世界の火山活動に関する最新の双方向的な情報サービスを提供するとともに、小・中学校教育での火山に関する学習を促進することを目的とする、火山情報基盤サービスである。

VolcanoWorld1995年から運用されており、月に数十万件のアクセスがある。世界レベルで最も評判の高い教育/公衆用Webサイトの一つである。

マルチメディア電子医療記録システム

Image Engine

Clinical Multimedia Lab./University of

Pittsburgh

Center

for Biomedical Informatics

・インテリジェント ソフトウェア・エージェントを利用して、コンポーネント(テキスト、静止画像、デジタルビデオ、音声、生理学的信号など)をリアルタイムで統合する、マルチメディア電子医療記録システム。

NLM(国立医療ライブラリ)の全米遠隔医療構想を構成するプロジェクトの一つの枠組みで実施されている。

・本システムは、医学分野における重要なアプリケーションを備えており、特に、臨床医学で、画像/データ集約的な分析を必要とする腫瘍学分野で有効であることが認められている。

Source:Tada.1999

5.ITと市場行動モデル

本項では、企業の市場行動パターンについて、各企業のIT導入による市場成果を分析する。ここで経営戦略分析におけるモデル分析のプロセスを以下の概念図に示す。          表5:戦略モデル分析と実測値との相応関係

戦略モデル分析

相互関係

実測値計測

Plan : 経営戦略立案 ↓

← シミュレート

←実際市場の計測(開始):Estimation

Do : 戦略実施   →

予測値 →

アセスメント ↓    :Assessment

See : 評定(帰結) ←

← 実測値

← フィードバック    :Feed back

                               (Takegami 2000

 戦略立案は最適化を目標とするシステム的思考から、データの収集(収集可能性、精度)と分析、戦略手法群を用い論理の組み立てをおこなう。以下、ITに関連する空間距離モデルをベースに選択確率モデルを構築、新製品の市場機会オポチュニテイについて戦略立案のシナリオ予測をおこなう。特に消費者と製品間の論理関係である選好性モデルの設定をここでは中心に扱う。

-1ITと企業の市場行動モデル

ITの企業戦略への導入により競合化の度合いが高まり、①全て新製品はニッチ製品となる。②市場ニッチの幅は益々極小化する。③選好性が高まり、流行(選好性の変化、移動)が著しくなる。と推測される。

5-1-1Positioning(選好回帰モデルとコンジョイント分析モデル)

新製品の市場投入について市場機会(market opportunity)を発見するため、製品ポジショニングをマッピングする。一般に、①既存製品の市場シェアに競合する製品は市場投入され難い。②限られた市場シェアに新製品を投入するのは、リスクが大きいため、戦略上ベネフィット評価を判別分析にかけて、判別スコアの重心から遠く乖離しないニッチを発見する。市場成長を上回り製品構成の細分化が進むことは、各プレイヤーの企業のIT導入により加速化すると考えられる。その結果、発見されるニッチ点は更に細かく、市場成長が比較的に限定されると予測される。この背景にはプレイヤーが不完全競争状況を創出する市場戦略を採用すること。また製品需要に支配される市場機会よりも、ITの導入により企業側の競合機会が多くなること等が考えられる。(尚、詳細は「RDMと経営戦略オプション ―アバナシ―・シェラー仮説の実証分析―」武上1997

表6:回帰モデルによる製品ポジッショニングの検索

戦略策定

戦略モデル

製品空間(ポジショニング)を作成

ポジショニング分布

ポジショニングに消費者の埋め込み

理想点モデル

消費者と製品との距離を計測

空間距離モデル

新製品シェア予測

シェアモデル

Takegami 2000

次に理想点モデル(Carol. AT&T Bell.1972)の設定を行う。これは消費者と製品を関連付ける論理モデルに相当し、消費者の選好性を示す。これには①理想ベクトルモデル②理想点モデル③折れ線型モデルがある。(注:「マーケテイング・サイエンス」片平秀貴97.35P

ここでは理想点モデル(正の理想点モデルとその逆問題の負の理想点モデル)を採用する。

               4:正の理想点モデル

選好

 これは消費者の理想点に近い製品ほど選好されることが示される。負の理想点を中心に等選好度曲線を描くと、同心円となり、正の理想点が無限遠点へとんでしまう。そのため正の理想点のみを前提とする。次に製品と消費者との距離を計測する。多次元での消費者Iの正の理想点をCiであらわし、製品jのポジションをPjであらわす。

一般に2   ijの距離を、差のべクトルの内積で表す。(定義)

ij=(CiPj)’(Ci―Pj)   ----------------------------------------------------------------

これにより消費者と製品の間の距離Dは

   D=( d ij )     ----------------------------------------------------------------

尚、選好は距離の逆数に比例するものと仮定する。----------------------------------------③                              

5-1-2Share model

消費者は正の理想点に近い製品ほど選好する。また消費者は選好の度合いに応じて製品を購入するものとして購入確率を求める。次いで対象となる全消費者について購入確率を積み上げ、新製品の市場シェアを算定する。

既存製品をA,B,C、新製品をXとする。これらの理想点からの距離をda, db, dc, dxとする。③から1/da, 1/db, 1/dc, 1/dxは選好度に比例する量となり、しかもこの合計が購入確率の合計1になるように、パラメータwを決定する。

(1/da+1/db+1/dc+1/dx)・w=1   -------------------------------------------------------

これから w=1/(1/da+1/db+1/dc+1/dx--------------------------------------------------

従って新製品Xの購入確率Pxは比例配分から

Px=1/dx・w

Px=1/dx・1/(1/da+1/db+1/dc+1/dx---------------------------------------------------------

一般にA,B,C-----Nの既存製品の場合

dsum=/da+1/db+1/dc+----1/dn

⑥式は Px=1/dx・1/(1/dsum+1/dx--------------------------------------------------------

新製品Xの市場シェアは、これよりn人の消費者に対しPxを計算し、その合計値Xmをnで割り返すと算出できる。

作図:Px=1/dx・1/(1/dsum+1/dx

テキスト ボックス: 選好度  

S=Xm /----------------------------------------------------------------------------------------------

この場合、ITの導入により消費者と製品の距離dが限りなく小さくなると仮定すれば

1/d’x1/dx

∴1/d’a+1/d’b+1/d’c+1/d’x>1/da+1/db+1/dc+1/dx

購買確率が高まるが、他の条件が一定であれば、その分ニッチ幅が狭まり理想点発見の市場機会が減少する。

5-1-3.市場モデル

消費者行動モデルでは製品価格、消費者選好性を説明変数とする多項ロジッドモデル(マクファデン1970.佐野1990)を使い、購買確率を定式化しマーケットシェアとする。

選好度Preferenceが大きくなるほど購買確率も大きくなる。(格差が明確に示されるように指数表示する)

選好度P(一般解)    u=exp(Pj)/Σexp(Pj)-------------------------------------------

一方、企業行動モデルについては、このマーケットシェアモデルを用い利益関数を定式化する。市場に於ける価格競争の状態を非協力N人ゲームとしてモデル化する。

①消費者行動モデル

企業Iの製品に対する消費者の効用Uiは、確定的効用Viと確率的効用εiの和で示される。

    Ui=Vi+εi,    i=1,2,3,------,n

企業iの製品価格piとするとき、確定的効用Viは、IT導入による部分効用f(pi)と製品特性による部分効用Aiからなるとする。

    Vi=f(pi)+Ai   i=1,2,3,------,n

⑨により、製品iが選択される確率をマーケットシェアとしたとき、選択確率は製品iの効用が最大になる確率を表す。

mi=Probability(Ui=maxUj│j=1,2,----,n)

=exponential(bVi)/Σexp(bVj),   i=1,2,3,------,n

尚、bは消費者選好について消費者の異質性の尺度となる。

②企業行動モデル

製品iの製品コストciITの導入についてIT特性ai,マーケットの大きさQとするとき、企業iの利益関数πi,

πiQmi(pi-ci),           i=1,2,3,------,n

利益関数πiは、pici、のとき、πi=0であり

lim

(

pi→∞

)

πi0                i=1,2,3,------,n    

利益関数πiは、任意の価格Pjにて最大値が存在することを表す。

各企業はPiを所与の下で利益関数を最大にするように意思決定するとき、以下の連立式を満たすpi**がナッシュ均衡となる。

πi(P1**,--- Pi-1**,Pi+1,---,Pn)≧πi(P1**,--- Pi-1**,Pi+1,---,Pn)

ナッシュ均衡解と製品価格piの範囲で判別関数を以下に定める。

D1(p,c)/pb(’(p)-(p-c)f’’(p)) ------------------------------------------------

図示した範囲で均衡解が存在するが、IT特性により解の存在領域は限定される。

(参考文献)中川、葛山、大野「知覚価格に基づくプライシングモデル」JIMA  vol.51.2000.6

結語

ITの導入について経営戦略に与える効果と問題点を指摘してきた。ITパラドックス、ITビジネススタイル等、IT導入が必ずしも市場効果を産むとは言えない事。また市場情報の完全性の問題は、経営戦略に様々な影響を与え、本来、経営戦略は不完全市場を創出する手法であるため、従来の戦略策定に比べ、さらに激しい競合化を前提にしたものになる。また米国企業のIT導入の前提条件と日本のそれとは、相違が著しいため導入効果にも大きな差異が生じ、さらに米国企業の競争優位は確立されつつある。いずれにせよIT導入により、競合化は著しく、購買確率は増大する一方で、市場機会は限定されるようになる。

距離=√di x

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