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APPROACH TO THE ANALYSIS OF COMPLEX SYSTEMCONCERNING IMAGINARY PRODUCTS MARKET

APPROACH TO THE ANALYSIS OF COMPLEX SYSTEM

CONCERNING IMAGINARY PRODUCTS MARKET

STUDY ON THE STRATEGIC OPTIMAL MODEL-

1999.1st.JUNE

KOUNOSUKE TAKEGAMI

NIPPON FUKUSHI UNIVERSITY
仮想製品市場における複雑系分析アプローチ

―戦略最適化モデルについての一考察―

日本福祉大学情報社会学部 助教授 武上 幸之助

(目次)

 序)「複雑系」手法の仮想製品市場分析へのアプローチ

1.複雑系市場分析手法について

(1)定量分析の限界と戦略ゲーム

(2)確率論的定性化分析と効用関数の導入:Santa Fe―SWARMによる複雑系市場分析

2.最適化モデルと製品市場のエージェント分析

結語)

序)

 経営科学の分析手法は数値処理手法の要求から定量分析が主流であり、定性的な分析では、企業の戦略がゲーム理論に基づき決定される場合が多い.そのため市場戦略分析が非常に困難であり確率論アプローチがしばしば採用される。従来、要素還元法によれば事象の構成要因の単純化過程で多くの要因が取捨抽象されるが、本稿では「複雑系」アプローチとして複雑な経営事象を、構成要素を還元せず複雑性を保ったまま分析する手法、即ちブラックボックスとしての仮想製品市場を仮定しシミュレーションを採用し分析し、市場分析においての定量分析の限界と確率論的手法による定性分析導入の可能性を示すものである。

 市場において製品はこれを媒体とした生産者の供給と消費者の需要の均衡点で購入決定される。成長期には企業の参入圧力から市場は拡大し、成長戦略が採用される。成熟(飽和)市場段階に入ると製品を供給する側の企業間の競合が著しくなり、市場浸透、上層吸収戦略等、さまざまな競争戦略が講じられるようになり、直接の経済学的合理性とは次元の異なるゲーム理論的手法が市場戦略に導入されるようになる。

 製品市場のフレームワークをここでは仮想市場とし、限られた条件の下で、企業が競争戦略手法を行使した場合の企業行動と市場成果を分析した。さらに経営戦略の目的とする市場成果をここで再確認し、経営戦略として仮想製品市場に手法が導入された結果をシミュレーション分析し考察する。

1.「複雑系」市場分析 

(1)        定量分析の限界と戦略ゲーム

 複数の経済主体(企業)の合理的市場行動を分析する際の戦略ゲームを考察してみる。ここで成熟市場では、n人零和ゲームであり、戦略とは効用積の最大化(ナッシュ積)を目的とした市場行動である。効用とは選好順序を表している。戦略ゲームは本来、非協力ゲームであり相手プレイヤーの採用する戦略に左右されないと仮定されるゲームである。協力や結託のない完全情報下では他のプレイヤーが選んだ戦略を知ることなく自己の戦略を決定するからNash均衡下では、プレイヤーは自己の意思で市場の中でその位置に留まろうとする。[1]

所謂ナッシュ均衡はn人非協力ゲームにおける均衡点の存在を示すものであり、n人の選択する戦略の組で各プレーヤーの戦略が他プレーヤーの戦略の組に対し最適反応を示す点である。

n=2のとき、2人零和ゲームとなり、対称性の公理から相手プレーヤーはこちらの利益を最小化するミニマックス戦略を採用する。いわば相関戦略となり敵と味方の各組プレーヤーの選好する確率分布(実現可能利益集合)は以下の図に示される。

最大効用積

Nash積)

実現可能利益集合

  図:2人ゲームにおけるナッシュ積

戦略手法の発見は、n人ゲームにおけるNash積の最大化となる点の策定であり、その方法分析には以下のような手法の対立がある。

従来の市場分析には、要素還元法:可能な限り細分化して単純化した要因を分析して、この成果を総合的に敷衍し帰納的に事象を解析する手法、いわばデカルト的な分析手法があり、自然科学における分析手法としての再現性などに利点となる特徴があった。その利点として複雑な事象の解明、仮想条件から最適条件での観察が可能となり経済性の向上。新たな問題提起が可能となる。そして再現方法としてのシミュレーションc技法に強みがあった。不利点として単純化する際の重要要素欠落の惧れ。定性分析に限界がある。統計科学では「複雑なシステムにおける情報の流れを統計モデルのツールを用いてデータから抽出し複雑な事象を理解する」これは演繹的に仮想世界を構築する複雑系に対して、事象を帰納的に分析する手法である。事象を基本原理に当てはめて論理的な説明を加える。

 一方、「複雑系」分析手法のその骨子となる概念は、以下に掲げるように極めて複雑な要因で成り立つ事象を取捨抽象するのではなく、複雑な要因の関連をそのままの形で分析する手法である。多体相関系に潜む法則性を発見し、事象の背後に潜む因果律を分析し、新たな事象に適用することにより様々な成果が期待できる。

(2)確率論的定性化分析と効用関数の導入:Santa Fe―SWARMによる複雑系市場分析

所与の条件下での製品市場(仮想市場)での各企業戦略の性質、手法の選好の特徴などから、製品価格、出荷数量、流通速度等定量分析に適すると考えられる市場要件と消費者の嗜好、企業戦略等ゲーム理論的な定性分析に適する市場要件をパラメータ化して、シミュレーション分析する。

(シミュレーション前提)

①市場構成要件の中で、定量分析の限界を指摘し、嗜好等、定性的情報によりどの程度、意思決定に影響があるのか、どの程度、不確実性をもつのかにより効用関数を導入して定量化する。

*パラメータの設定基準を構築:数式モデルを細分化して場合分けに対応。多体相化に対応する。

*企業の市場行動ではゲーム理論的論理に基づく行動原理が作用する傾向があり、以下複雑系確率シュミレーションモデルを導入する。

②「複雑系」概念の市場分析導入を図る。[i]

 複雑系手法の特徴を以下に掲げると、

*複雑系分析の中心は多変量解析であり、データからの推論を実証する。

*その手法のテーマは「複雑系の科学:第一原理は発見できないか無数の原理が複雑に入り組んだ多体相関系に潜む法則性の発見」である。

シミュレーションの条件:パラメータの設定

シミュレーション結果と評価

③公開プラットフォーム「複雑系マルチエージェント型シミュレータ」を利用しコンジョイント分析とマルチエージェントシュミレートを行う。

a.SWARMのプラットフォーム(Chris Langton):

エージェントに選好を加えたエージェント相互の影響を想定するシミュレーションが可能である。

b.効用関数の導入:

コンジョイント分析による効用値が推定できる

c.エージェント効用値分布:

確率的手法によりセグメント分布分析が可能。

d.仮想製品市場の設定とシミュレーション:

消費者エージェントと製品エージェントをSWARMに設定。消費者選好と製品属性設定のパラメータを設定してシミュレートしてみる。

e.仮想製品市場でのマルチエージェントモデルの問題:

エージェント設定。属性設定。特にエージェント数の設定が多いとデータ処理が困難になる。

(仮想製品市場の要因)

*消費者選考:ブランド選択群。浮動層

*市場エージェント:

*消費者エージェント:新製品特性。情報、価格、シェア。

以上相互間の影響を分析してみる。


*複雑なシステムを理解する概念を獲得できる可能性。

2.最適化モデルと製品市場エージェント分析

                                        仮想製品市場シミュレーション

(1)前提:

                                        飽和成熟市場:買換え需要が主要因

                                        市場占拠率の確立と寡占市場化:強者と弱者の存在

                                        ブレイクスルー技術が発生し難い:コスト競争が主要因

(2)分析:

戦略論理がゲーム理論に基づく仮想市場におけるエージェント分析

マルチエージェント型シュミレータプラットホーム

*市場戦略モデル

企業の属する産業の成長率、競合の激しさ、企業の競争力で競合と競争の構造に多面的応用形が存在するが、それをモデル化する。

(1)企業環境の要因と対応する企業戦略の手法。

(2)要因の相互関係の仮説モデル。

環境

  (独立変数)

戦略手法

(従属変数)

結合度

業態成長率

売上率

機能と工程の結合度

増加

市場障壁

参入・撤退障壁難易度

機能と社内取引度の結合度

減少

市場集中度

寡占率

機能数と内部化比率

増大

協力関係

シナジー効果

アウトソーシング(社内度)比率

減少

垂直関係

川上・川下結合度

工程数と所有度比率

増大

競争関係

市場占拠率

交渉・連携・阻止

増大

(3)米国における提携比率

川上社内度

非結合(社内度 0%)

部分的結合(社内度 1~79%)

高度結合(社内度 80~100%)

33%

52%

15%

川下社内度

非結合(社内度 0%)

部分的結合(社内度 1~79%)

高度結合(社内度 80~100%)

37%

38%

25%

機能数

多(可能機能数 49%以下)

中(可能機能数 50%~74%)

少(可能機能数 75%~100%)

32%

34%

34%

工程数

一工程(工程数x付加価値 74%以下)

数工程(工程数x付加価値 75%~149%)

多工程(工程数x付加価値 150%以上)

29%

58%

13%

所有形態

契約形態(株式所有0%)

準結合(株式所有94%まで)

全所有(株式所有95%以上)

39%

23%

38%

3.                        結語

                                        従来の成長曲線モデル(ロジステクス曲線モデル等)傾向外挿入法は線形連続、構成要素が期間内で変化しない等、静的限定条件での製品市場の成長期は、傾向外挿法による予測が経営事象に論理を与える。しかし製品成熟期に入る飽和市場では、傾向外挿入法が適用できず、ゲーム理論的戦略が採用され、新たなシュミレーションモデルが必要となる。SWARM(エージェント型シュミレーションモデル)は新たな戦略モデルを提起する。

                                        市場占拠率を主要因とする確率論的シミュレーションに拠れば、市場においてすべかNash均衡に向かい、市場占拠率の取れない弱者の組は囚人のジレンマに陥り最悪状況の予測に基づく戦略選択を行う傾向が観測される。


[1] 完全情報有限ゲームでは純粋戦略のナッシュ均衡が存在する。(シェロメロ定理)


[i]  予測シミュレーション「企業における生産活動や販売活動において合理的かつ経済的な意思決定を行うために人や組織の行動、現象を数量的モデルに置き換えて科学的分析を施し、その実施に有効な情報を提供する原理、手法」を市場概念に導入する。即ち、「実験ー解析ー統合」のプロセスがコンピューター技法により可能になり、分析環境が整い、再現性が発揮できる。またウィーナー「サイバネテイクス」のアイデア、即ち定量的制御が可能になる。

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