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Analyses of Purchasing Behavior in the Artificial market & its agents

日本福祉大学紀要:経済論集

情報社会科学部助教授

武上 幸之助

QYJ00653@nifty.com

「人工市場での購買行動モデルとエージェント分析」

SISとマーケテイング・シミュレーション―

‘Analyses of Purchasing Behavior in the Artificial market & its agents’

-Strategic Information System & marketing simulation-

 Kounosuke Takegami

Faculty of Social and Information Sciences,

Nihon

 

Fukushi

 

University

(論旨)

マーケテイング分野の市場分析では、企業の戦略立案の立場から、①需要予測と②競合分析がその中心的役割を果たしている。①需要予測を測定するために消費者の購買意思の決定要因を調査する選好分析では、プリテスト・マーケテイングモデル分析及びコンジョイント分析が従来からしばしば利用されるケースが多い。一方、②競合分析では企業の市場行動について、従来、戦略モデルとして、ゲーム理論的立場から多彩な分析が行われて来た。

従来、マーケテイング・シミュレーションでは、経営コントロールの観点からモデル構築は、要素還元主義に基づく手法:市場をセグメント化し、各要素それぞれを分析し、これを基礎に総体を理解する立場を採用する、いわば各論分析から総論理解に及ぶ手法であるが、尚、批判も多い。一方で、要素還元主義の反省から、フラクタル的アプローチ:各エージェント間の因果関係に注目し、エージェント間の創発性(各エージェントが相互作用を繰り返すことにより総体としての性質が生じ、こんどは総体から各エージェントに影響を与える)を分析する立場がある。

近年のIT革命の進展により、需要予測、競合分析の諸要因の関連性から従来のマーケテイングの諸モデルにコンピュータプログラム化が進められ、経営戦略意思決定の為の情報システム(SIS)のモデルベースが構築され、更にはシミュレータの開発が顕著に進展している。このフラクタル的アプローチにおいては、例えば、マルチエージェント分析手法として、オブジェクト指向の「StarLogo」(MIT)、「SWARM」(米国サンタフェ研究所)、「ABS」(情報処理振興事業協会/(株)構造計画研究所)のようなマルチエージェント型シミュレータのプラットホームが導入され、より精緻な分析を試みる動きが出てきた。

本論では、需要予測を中心に購買行動モデル分析の発展を概観し行うに当り、フラクタル的アプローチから、人工市場において企業(プレイヤー)のエージェントを発生させ、各エージェントに効用関数による効用値を設定し、モンテカルロシミュレーションし、効用関数のモデル化につき評価を行うことを目的とする。

尚、本論文は日本福祉大学課題研究費の助成による一連の研究分析の導入部分である。

(キーワード)フラクタル分析、人工市場、マルチエージェント、効用関数、シミュレーション、SIS

(目次)

1.市場行動モデルの系譜

2.マルチエージェント型シミュレータ

3.人工市場でのシミュレーション分析

4.モデル評価

 

マーケテイング活動において市場情報をリサーチし、フィードバックして統合し経営コントロールの下位に位置付ける、戦略策定する上で有効な企業のマーケテイング情報システムを構築する為の手法として、MDSSやSISの試みが進められてきた。特にマーケテイング・サイエンス或いはマーケテイングエンジニアリングの分野において、近年のIT革命により、多変量解析による優れたシミュレータが沿革的に考案されてきた。

本論ではサンタフェ研究所で開発された複雑系マルチエージェント型シミュレータプラットホーム:SWARMを用い、人工市場に於いて、効用関数を各プレイヤーに移植し、プレイヤーの市場行動をシミュレートし、市場行動をモデル化する狙いを持つ。

尚、本研究には(株)構造計画研究所の協力があり、ここに深く感謝申し上げる。

1.市場行動モデルの系譜

1-1.マーケテイング活動のモデル化

1-1-1.マーケテイング・モデル化の問題

マーケテイング上の要因となる変数は、一般に数量化が困難であり、効用関数、非線型、交互作用効果と遅滞等、確率要因が中心的役割を果たす場合が多い。またマーケテイング活動の多くは「オープンシステム」であり[1]、競合関係の予測と需要コントロールが困難であるという性格がある。

1‐1‐2.マーケテイング・モデル化と体系

マーケテイング・モデルは、経営目的から以下、3パターンに分類される。

①記述モデル:マーケテイング上の諸要因の働きを記述する。

②予測モデル:マーケテイング活動の予測結果を想定したモデル。

③規範モデル:最適計画等、あるべき理想を想定したモデル。

また手法別分類には

①言語モデル:文章、ロジカルフローモデル

②数量モデル:確率型・確定型、静態型・動態型等

データ分析の観点からの分類では

①グラフ化手法:記述モデル

②多変量解析手法:測定データを統計的に分析し、変量や測定対象間の構造を分析する。

これは更に数量化(Ⅰ類~Ⅳ類)と量的分析法(重回帰、判別、主成分、因子、多次元尺度構成法)に分類される。

③意思決定モデル:情報収集、代替案作成、代替案選択、実行モデルのうち、代替案選択モデルが中心的存在である。偶然型決定モデル、権威型決定モデル、エキスパート型決定モデル、ペイオフ行列型決定モデル、属性評価型決定モデルがある。 

特に市場分析では「将来予測を目的とする動的分析と、層別・地域別の横断面分析を目的とする静的分析」がある。また実態分析には「市場の質的データを得る標本調査、動機調査、テストマーケテイング(市場実験)等調査方式と量的データを得ようとする積み上げ方式」がある。

従来、ゲーム理論の立場から、マーケテイング・サイエンス、エンジニアリングの技法を用いて需要予測と購買行動のモデル化が図られてきた。ここでは、その中の購買行動について効用関数のモデル化の系譜を考察してみる。

J.A.Howard(1982)は、PLCの各プロダクトステージにおいて、購買頻度の高い低価格品の市場性を分析し,消費者の市場行動を3レベルに分類した。多くの市場情報を基に新製品に対する意思決定する新しいプロダクトクラスの導入段階から、成長段階の競合製品への選択的行動、そして習慣、反復的購買行動を採用する普及、成熟段階までの推移をモデル化する。

効用関数の導入について:経済人(意思決定が完全情報下で行われ、経済合理性に沿った行動を採用する)は、自己の選択しうる全ての代替行動案と、そのどの案を選択してもその行動結果が分かる事を前提に、選好の序列付けが出来、効用を最大にするように行動することである。 

表:市場行動分析モデル(Howard)

PLC Stage

Introduction

Growth

Mature

Product Information

Affluent

Obtainable

Limited

Decision Making

Slow

Mediate

Rapid

効用関数Utility Function

Variable

Invariable

Invariable

Purchasing Skill

Variable

Invariable

Invariable

1‐2.主な市場での購買行動モデル

1‐2‐1.普及モデル:特に新製品の市場における伝播の動態性に着目し普及過程を分析する。

S字型普及モデル

②凹型普及モデル

③伝染型普及モデル

1‐2‐2.採用モデル:市場浸透過程をモデル化するもの。

AIDAモデル

ROBERTSONモデル

DEMONモデル

SPRINTER MOD Ⅲモデル

1‐2‐3.反復購買モデル:非耐久消費財等購買頻度の高い製品について、採用過程、普及過程に加え反復購買過程の分析が重要である。

FOURT&WOODLOCKモデル

PARFITT&COLLINSモデル

STEAMモデル

1‐2‐4.選択モデル:購買活動は、複数の代替案から選択決定することである。

①銘柄選択モデル

1‐2‐5.学習モデル:KUEHN

1‐2‐6.マルコフ過程モデル:

①一次離散型定常マルコフ過程モデル:ある期間の個人の状態確率ベクトルを、初期状態確率ベクトルと推移行列により表すモデル。

②ベクトルマルコフ過程モデル:

③異質型マルコフ過程モデル

④非定常マルコフ過程モデル

1‐2‐7.エントロピーモデル

①一因子情報路モデル

②逆一因子情報路モデル

HERNITERモデル

 1‐3.マーケテイング・モデリング

1‐3‐1.マーケテイング・モデリングの問題

マーケテイング・モデルの構築では、市場要因を指数化する際に以下のような問題が存在する。

①マーケテイング・モデルの変数が、特徴的に非線形、遅れ、確率論的性質、不確定要素が大きいこと。特に消費者の学習行動や口コミのように消費者の購買行動において影響力ある要素が反映し難い限定合理性の下での意思決定が行われる傾向がある。

②マーケテイング・モデルの特徴として、オープンシステム(競合者との相対的市場ポジション、消費者行動パターンが競合者相互に認識しうる)であること。

③経営コントロールの観点から市場を管理する、即ち、経営者の立場から経営資源の分配と市場成果との関連から最適化を目指すことが、関心になることから、エージェントの自主性を軽視しがちになる。

1‐3‐2.需要予測に関するマーケテイング・モデルの分類

従来の要素還元主義からのアプローチでは、以下のようにマーケテイング・モデルを分類しうる。

(1)需要予測モデル:

①回帰モデル(説明変数と予測変数(被説明変数)を静的構造として捉える。

②動的構造として捉える時系列モデル。

③両者を統合する複合モデル。

(2)多変量解析法:

測定対象や変量に対して得られた多数の測定データを同時に統計的分析することにより変量と測定対象間の構造を明らかにする。または目的変量の予測を行う。

(3)意思決定モデル・市場行動モデル:

一次離散型定常マルコフ過程モデル:個人の状態確率ベクトルと初期状態確率ベクトルと推移行列によるモデル

ベクトルマルコフ過程モデル:同時性を前提に、一次離散的定常マルコフ過程モデルを市場全体に拡張導入するモデル。

一因子情報路モデル:製品銘柄の一種類の評価値から市場占有率を求めるモデル。

Hertniterモデル:消費者選好カテゴリーの構成比率と選好度分布を市場占有率と最大エントロピー原理から求める。

以下、コンピュータによる情報技術を用いたシミュレーション手法の発展を分類に示してみる。

表:マーケテイングを前提とした計画関連モデル(1)

大別

分類

モデル

目的

需要予測モデル

(実測値に基づく)

時系列モデル

TCSI分離型

傾向変動分析

傾向直線・曲線

理論傾向曲線

移動平均系列

季節変動分析

固定季節指数法

Census局法

EFA法

循環変動分析

循環変数系列

コレログラム分析法

スペクトル分析法

自己回帰型

自己回帰(ARモデル)

時差回帰モ

デル

指数平滑モデル

回帰系モデル

確定型

普通推計法

単純回帰モデル

多重回帰モデル

非線形回帰モデル

特定推計法

リッジ回帰法:

説明変数間に多重共線性が生じた際使用

ロバスト回帰法:特異性を持つ誤差項の影響を最小限に抑える。

非確定型

GMDHモデル

複合モデル

MAモデル

ARMAモデル

ARIMAモデル

表:マーケテイングを前提とした計画関連モデル(2)

需要予測モデル

(理論構造)

総需要モデル

Stone&Roweモデル:耐久消費財の総需要を新規需要と更新需要の和として表す

Houthakker&Taylorモデル:一般消費財の総需要を所得水準とストック量の関数として表す

初期購買(普及)モデル

S字・凹字型モデル

ロジステイック曲線

コンペルツ曲線

Fourt&woodlockモデル

Mansfildモデル

伝染型モデル

Bassモデル:耐久消費財の新規需要を革新需要と模倣需要に分ける

Horsky&Simonモデル:Bassモデルの拡張、新規需要を説明する関数に広告要因を組み込む

Robinson&Lakhaniモデル

Peterson&Mahajanモデル

Kalishモデル

反復購買モデル

テストマーケット型

反復比率型

Fourt&Woodlockモデル:反復購買される新製品の需要を反復比率の関数として表す

Parfitt&Collinsモデル:反復購買される財が既存製品市場に参入した場合の市場占有率を予測

STEAM(Massyモデル)

企業モデル

手法別

簡易型企業モデル

構造方程式型企業モデル

システムダイナミックス型企業モデル

対象別

Amstultzモデル

Boniniモデル

表:市場行動モデル(3)

市場行動モデル

普及モデル

需要予測モデル

採用モデル

製品計画モデル

反復購買モデル

需要予測モデル

銘柄選択モデル

マルコフ過程モデル

一次離散的定常マルコフ過程モデル

ベクトルマルコフ過程モデル

異質マルコフ過程モデル

非定常マルコフ過程モデル

学習(Kuehn)モデル

エントロピーモデル

一因子情報路モデル

逆一因子情報路モデル

Herniterモデル

モデル化の問題点

利点:①モデルは特定の現象がどのように作用するかを明確にしうる。

②必要となるデータが何であるかを明確にし、行動結果を実験的に明らかにする。

③モデル形成過程において新たな仮説の設定が促される。

④単純なモデルから累積的にデータを追加して修正発展することが可能である。

1‐4.連続型シミュレーションと離散型シミュレーションモデル

1‐4‐1.連続型シミュレーション[2]連続型シミュレーションはシステム状態を表す変数が時間とともに連続的に変化していくと考えられるミュレーションで、変化の様子が微分方程式などによって表されることが多い。微分方程式が連続型シミュレーションのモデルとなる。受注から納品に至るまでの

1‐4‐2.離散型シミュレーション[3]:離散型シミュレーションはシステムの状態に変化をもたらす出来事が時間軸上で離散的(不連続的)に発生するとみなすシステムであり、離散系シミュレーションのモデルは、システムの変化要因を事象と呼ぶので離散事象型シミュレーションとも呼ばれる。高速道路料金所で車が来るというのは離散的事象で、そのためにゲートをどれだけ開けていればよいかを知りたいとき等、離散系シミュレーションを用いる。また待ち行列、在庫管理のモデル化に効果あるとされる。GPSSでは時間の経過と共にシステムを動く対象をTransactionと捉え、追跡する形でモデル化が行われる。

(注)離散系シミュレーション

乱数発生:乱数(どの数も等しい確率で、不規則になるように選択した数字列であり、コンピュータで発生させる乱数は真の乱数ではなく擬似乱数である。

擬似乱数の条件:

①周期が長い。同じ数列が繰り返し出現する間隔

②統計的検定に耐えうる。χ二乗検定、ポーカー検定

③再現性があること。異なるモデルを比較するのに必要

④乱数発生のスピードが速い。繰り返し実験の有効性維持

C言語での擬似乱数発生

rand()関数:rand 関数を用い整数の乱数を発生させることができ、再現性が得られる。

srand()関数:srand 関数を用いrand 関数を初期化し、乱数を変えることが出来る。

srand((unsigned)time(null));

2.フラクタルアプローチとマルチ・エージェントベース・シミュレータ(MABS)

エージェントベースドシミュレータ(Agent Based Simulator)によるABSモデル[4]は、プレイヤーをエージェントとし、個別の主体性をもち自律的に市場行動する実行主体とする。[5] 要素還元主義におけるシステムダイナミズムとマルチエージェントの、大きな立場の差異は、エージェント相互の相互依存関係にある。例えば口コミ効果、消費者の学習効果等の要因分析は、エージェント分析では直感的に示しうる。[6]

フラクタルアプローチによるキャスティの法則「複雑系による科学革命」では、①モデル構成要素(エージェント)の数は中程度。②エージェントは知性を持ち知的行動を採用する。③エージェントは局地的情報により相互作用する。即ち完全情報ではなく限定された不完全情報により意思決定するとするが、これを応用したシミュレーションモデルにボイドBOID(Bird roid)「群行動の本質」がある。多数の適応型エージェントをコンピュータ上に発生させ相互作用させることで、「創発」(Emergence)を導くモデルである。鳥には群れを作る本能的命令はないが群行動により「創発」が生じ、群れが作られる。①環境内にある他の物体と距離を最小限に保とうとする。②近隣のボイドと速度を合わせようとする。③近隣のボイドと質量中心を知覚し、そこに向かって移動しようとする。全体は部分の総和以上のものであるとするアプローチである。類は類を呼ぶ口コミ効果(Effect by word of mouth communication:エージェントが相互に勧誘する)、または牽制的行動(トレードオフ等)不完全な判断、情報によるエージェントの学習能力を人工市場の上でシミュレーションする手法である。

3.需要予測モデル:人工市場でのシミュレーション分析

表:回帰確定モデルのパラメータ推定法の分類

回帰確定モデル

線形パラメータ

線形説明変数

最小二乗法

非線型説明変数

非線型部分を線形化

非線型パラメータ

単項式

対数化して線形化

特定多項式

線形化可能

他の多項式

損失関数の偏微分可能

パラメータ推定可能

損失関数の偏微分不能

パラメータ推定不能

本項目では、実際にフラクタル立場からのシミュレーションモデルを用いて、従来の要素還元法に基づき、需要予測モデルを中心に、シミュレーションモデルを比較、検討を加えてみる。

3‐1.需要予測モデル(Demand forecasting model)

3-1-1.要素還元法による需要予測モデル

デカルト方法序説

要素還元手法:複雑、無秩序な現象を、単純化した事象に抽象化して還元して要素間の因果律、法則性を予見する。

*平衡性ー非平衡性       *可逆性ー非可逆性

*線形性ー非線形性              *決定性ー非決定性

*飽和性ー非飽和性              *安定性ー不安定性

「総合研究大学:国際シンポジウム」 1999.13.March 

*「システム技法」:竹村伸一、日本理工出版会  1999                


  *予測シュミレーションの技術の発展

「企業における生産活動や販売活動において合理的かつ経済的な意思決定を行うために人や組織の行動、現象を数量的モデルに置き換えて科学的分析を施し、その実施に有効な情報を提供する原理、手法」

実験ー解析ー統合のプロセスがコンピューターにより可能になる。:環境が整い、再現性が発揮できる

ウィーナー「サイバネテイクス」のアイデア:定量的制御が可能になる。

*複雑系分析の中心は多変量解析。データからの推論を実証する。

*サンタフェ研究所の主唱「複雑系の科学:第一原理が発見できないか無数の原理が複雑に入り組んだ多体相関系に潜む法則性の発見」。

  *シュミレーション:複雑系への理論アプローチ

(利点)複雑な事象の解明。仮想条件から最適条件での観察が可能。経済性の向上。新たな問題提起

(不利点)単純化する際の重要要素欠落の惧れ。定性分析に限界。

(予知できること、出来ぬことは問題の性質による)

*複雑なシステムを理解する概念を獲得できる可能性。

*統計科学では「複雑なシステムにおける情報の流れを統計モデルのツールを用いてデータから抽出し複雑な事象を理解する」

これは演繹的に仮想世界を構築する複雑系に対して、事象を帰納的に分析する手法である。

事象を基本原理に当てはめて論理的な説明を加える。

*統計的モデリングの要点(情報量基準AIC。汎用モデル。計算法:非ガウス型フィルタ)

AIC(赤池情報量基準)=-2(対数尤度)+2(パラメータ指数)

同式は対数尤度でパラメータの2倍を補正しバイアス修正が可能となる(ハズ)。

*予測手法

1.Kullback-Leibler情報量による評価

2.K-L情報推論とバイアス修正

之により他のモデルと同じ条件で比較できる。

K-L情報量モデル

g(x):真の分布  f(x)モデル

I(g、f)=Еrlog・g/f=Еrlog・g-Еrlog・f

Еrlog・f(y)=∫logf(y)d・g(y)

対数尤度

Σ(g・f)を最小⇔Εrlog・f(y)を最大=AIC最小

*事象情報・データ → 統計モデル → 情報判断

                   (最尤法/AIC基準:モデル判定)

予測手法

*経済予測

(1)時系列分析

(2)回帰分析

(3)計量経済分析

(4)産業関連分析

*需要予測

(1)内部予測(時系列分析・指数平滑法)

(2)外部予測(回帰分析法・弾力性分析・計量経済モデル分析)

*予測技法

(1)直観予測(デルファイ・クロスインパクトマトリックス・クロスコリレーションバジェステイング)

(2)探索予測(外挿法・シナリオ・ツリー(関連樹木)・シュミレーション・インプットアウトプット)

(3)規範予測(ネットワーク・マトリックス・関連分析)

*傾向外挿法:

過去、現在の傾向線を延長して将来を予測。予測の対象が連続線形、定常的であることを仮定。

外部作用には対応できない。この手法には(1)関数当てはめ法(2)包絡曲線法(3)傾向相関法等がある。

*関数当てはめ法:一次直線、二次曲線、指数曲線、成長曲線

*一次式(y=ax+b)の係数決定は最小二乗法でおこなう。

曲線モデルは正規方程式で計算。

事象yの単位時間当たりの変化dy/dt(進歩速度)が一定値aの近似に集まるとき

一次式y=at+bに当てはめうる。

*二次式(y=at/2+bt+c)

現象yの単位時間当たりの変化率dy/dt2  (進歩加速度)が一定値aの近似に集まるとき

*指数曲線

現象yの単位時間当たりの変化率dy/dtと、その値yとの比率(成長率)が一定値aに近似

する。即ち1/y・dy/dt=aであるときy=Aeatとなり指数関数を当てはめることができる。

対数を取りY=lnyとすると、Y=at+cとなり一次式となる。ここでc=lnA.

指数関数の当てはめには、縦軸を対数目盛りである2次平面で一次式を当てはめる。

事例:特に技術進歩など。デザインルールの事例(集積回路)

*成長曲線の当てはめ

現象yの成長率が一定でなく、ある限度Lに接近するにつれ成長率が減少する傾向、即ち

1/y・dy    /dt=a・(1-y/L)

と表現できるとき

y=L/1+me-at

となり、この指数曲線を成長曲線(ロジステックス曲線)と呼称する。

耐久消費財の製品市場拡散が、試験期、市場浸透期、安定期、衰退期、を経過すると説明される。

特に需要予測の場合に用いられる。

事例:蛍光灯、白熱電球の拡散には、正確な精度(パール1920年)

なお、成長曲線の飽和限界Lを含めた係数は、線形式に最小二乗法を適用して決定する。

*包絡曲線法

この手法は技術予測分野で開発された外挿法の一つである。個別技術が総合的に統合され技術エスカレーションが観測される

(個別技術の包絡曲線を推測しうる)

事例:輸送手段の高速化

粒子加速装置のエネルギー増大化

照明手段の効率化

*傾向相関法

異種の現象相互間にタイムラグをもった相関関係がある場合、相関関係を分析することにより先行現象傾向から

遅行的現象傾向を予測する外挿法の一つである。

事例:戦闘機と輸送機の最大速度の比較分析。(最先端の技術進歩を利用する戦闘機と安全性を第一とする輸送機との間には

タイムラグを持った相関関係がある/そのため先行技術と時系列にタイムラグをとり輸送機に技術が採用されることが推定される)                                 

②フラクタル的アプローチによる需要予測モデル

「複雑系研究」米国サンタフェ研究所

サンタフェ研究所、Langleton教授の複雑系市場シュミレーション・モデル(一般公開)

特に新製品の市場拡散についての予測モデル。

SWARM」:

1.特徴

*市場エージェントが単独で行動するのではなく、相互に影響を維持しながら行動することを想定。

*マルチエージェント型シュミレータプラットフォームを一般公開。

*効用関数を各エージェントに移植する。

(1)プラットフォーム:各エージェントに選好を設定し、効用関数を移植する。

(2)効用関数の設定:コンジョイント分析手法による効用値推定。コンピューターインタビューにより消費者に製品を提示しながら、効用値の推定を行う。

(3)各エージェントの効用値の分布:効用値データを元にモンテカルロシュミレーション技法を利用、セグメント別の分布。(株)構造計画研究所のアプリ「Crystal Ball」

(4)仮想市場の設定とシュミレーション:製品と消費者エージェントのSWAMへの設定。製品属性の設定。

*論文:服部正太(株)構造計画研究所「SWAMを利用した人工市場モデルの応用」

        M.ミッチェル・ワードロップ「複雑系」新潮社1996

片平秀貴「マーケテイングサイエンス」東京大学出版会1992

APPROACH TO THE ANALYSIS OF COMPLEX SYSTEM

CONCERNING IMAGINARY PRODUCTS MARKET

STUDY ON THE STRATEGIC OPTIMAL MODEL-

1999.1st.JUNE

KOUNOSUKE TAKEGAMI

NIPPON FUKUSHI UNIVERSITY
仮想製品市場における複雑系分析アプローチ

―戦略最適化モデルについての一考察―

日本福祉大学情報社会学部 助教授 武上 幸之助

(目次)

 序)「複雑系」手法の仮想製品市場分析へのアプローチ

1.複雑系市場分析手法について

(1)定量分析の限界と戦略ゲーム

(2)確率論的定性化分析と効用関数の導入:Santa Fe―SWARMによる複雑系市場分析

2.最適化モデルと製品市場のエージェント分析

結語)

序)

 経営科学の分析手法は数値処理手法の要求から定量分析が主流であり、定性的な分析では、企業の戦略がゲーム理論に基づき決定される場合が多い.そのため市場戦略分析が非常に困難であり確率論アプローチがしばしば採用される。従来、要素還元法によれば事象の構成要因の単純化過程で多くの要因が取捨抽象されるが、本稿では「複雑系」アプローチとして複雑な経営事象を、構成要素を還元せず複雑性を保ったまま分析する手法、即ちブラックボックスとしての仮想製品市場を仮定しシミュレーションを採用し分析し、市場分析においての定量分析の限界と確率論的手法による定性分析導入の可能性を示すものである。

 市場において製品はこれを媒体とした生産者の供給と消費者の需要の均衡点で購入決定される。成長期には企業の参入圧力から市場は拡大し、成長戦略が採用される。成熟(飽和)市場段階に入ると製品を供給する側の企業間の競合が著しくなり、市場浸透、上層吸収戦略等、さまざまな競争戦略が講じられるようになり、直接の経済学的合理性とは次元の異なるゲーム理論的手法が市場戦略に導入されるようになる。

 製品市場のフレームワークをここでは仮想市場とし、限られた条件の下で、企業が競争戦略手法を行使した場合の企業行動と市場成果を分析した。さらに経営戦略の目的とする市場成果をここで再確認し、経営戦略として仮想製品市場に手法が導入された結果をシミュレーション分析し考察する。

1.「複雑系」市場分析 

定量分析の限界と戦略ゲーム

 複数の経済主体(企業)の合理的市場行動を分析する際の戦略ゲームを考察してみる。ここで成熟市場では、n人零和ゲームであり、戦略とは効用積の最大化(ナッシュ積)を目的とした市場行動である。効用とは選好順序を表している。戦略ゲームは本来、非協力ゲームであり相手プレイヤーの採用する戦略に左右されないと仮定されるゲームである。協力や結託のない完全情報下では他のプレイヤーが選んだ戦略を知ることなく自己の戦略を決定するからNash均衡下では、プレイヤーは自己の意思で市場の中でその位置に留まろうとする。[7]

所謂ナッシュ均衡はn人非協力ゲームにおける均衡点の存在を示すものであり、n人の選択する戦略の組で各プレーヤーの戦略が他プレーヤーの戦略の組に対し最適反応を示す点である。

n=2のとき、2人零和ゲームとなり、対称性の公理から相手プレーヤーはこちらの利益を最小化するミニマックス戦略を採用する。いわば相関戦略となり敵と味方の各組プレーヤーの選好する確率分布(実現可能利益集合)は以下の図に示される。

最大効用積

Nash積)

実現可能利益集合

  図:2人ゲームにおけるナッシュ積

戦略手法の発見は、n人ゲームにおけるNash積の最大化となる点の策定であり、その方法分析には以下のような手法の対立がある。

従来の市場分析には、要素還元法:可能な限り細分化して単純化した要因を分析して、この成果を総合的に敷衍し帰納的に事象を解析する手法、いわばデカルト的な分析手法があり、自然科学における分析手法としての再現性などに利点となる特徴があった。その利点として複雑な事象の解明、仮想条件から最適条件での観察が可能となり経済性の向上。新たな問題提起が可能となる。そして再現方法としてのシミュレーションc技法に強みがあった。不利点として単純化する際の重要要素欠落の惧れ。定性分析に限界がある。統計科学では「複雑なシステムにおける情報の流れを統計モデルのツールを用いてデータから抽出し複雑な事象を理解する」これは演繹的に仮想世界を構築する複雑系に対して、事象を帰納的に分析する手法である。事象を基本原理に当てはめて論理的な説明を加える。

 一方、「複雑系」分析手法のその骨子となる概念は、以下に掲げるように極めて複雑な要因で成り立つ事象を取捨抽象するのではなく、複雑な要因の関連をそのままの形で分析する手法である。多体相関系に潜む法則性を発見し、事象の背後に潜む因果律を分析し、新たな事象に適用することにより様々な成果が期待できる。

(2)確率論的定性化分析と効用関数の導入:Santa Fe―SWARMによる複雑系市場分析

所与の条件下での製品市場(仮想市場)での各企業戦略の性質、手法の選好の特徴などから、製品価格、出荷数量、流通速度等定量分析に適すると考えられる市場要件と消費者の嗜好、企業戦略等ゲーム理論的な定性分析に適する市場要件をパラメータ化して、シミュレーション分析する。

(シミュレーション前提)

①市場構成要件の中で、定量分析の限界を指摘し、嗜好等、定性的情報によりどの程度、意思決定に影響があるのか、どの程度、不確実性をもつのかにより効用関数を導入して定量化する。

*パラメータの設定基準を構築:数式モデルを細分化して場合分けに対応。多体相化に対応する。

*企業の市場行動ではゲーム理論的論理に基づく行動原理が作用する傾向があり、以下複雑系確率シュミレーションモデルを導入する。

②「複雑系」概念の市場分析導入を図る。[i]

 複雑系手法の特徴を以下に掲げると、

*複雑系分析の中心は多変量解析であり、データからの推論を実証する。

*その手法のテーマは「複雑系の科学:第一原理は発見できないか無数の原理が複雑に入り組んだ多体相関系に潜む法則性の発見」である。

*シミュレーションの条件:パラメータの設定

シミュレーション結果と評価

③公開プラットフォーム「複雑系マルチエージェント型シミュレータ」を利用しコンジョイント分析とマルチエージェントシュミレートを行う。

a.SWARMのプラットフォーム(Chris Langton):

エージェントに選好を加えたエージェント相互の影響を想定するシミュレーションが可能である。

b.効用関数の導入:

コンジョイント分析による効用値が推定できる

c.エージェント効用値分布:

確率的手法によりセグメント分布分析が可能。

d.仮想製品市場の設定とシミュレーション:

消費者エージェントと製品エージェントをSWARMに設定。消費者選好と製品属性設定のパラメータを設定してシミュレートしてみる。

e.仮想製品市場でのマルチエージェントモデルの問題:

エージェント設定。属性設定。特にエージェント数の設定が多いとデータ処理が困難になる。

(仮想製品市場の要因)

*消費者選考:ブランド選択群。浮動層

*市場エージェント:

*消費者エージェント:新製品特性。情報、価格、シェア。

以上相互間の影響を分析してみる。


*複雑なシステムを理解する概念を獲得できる可能性。

2.最適化モデルと製品市場エージェント分析

仮想製品市場シミュレーション

前提:

飽和成熟市場:買換え需要が主要因

市場占拠率の確立と寡占市場化:強者と弱者の存在

ブレイクスルー技術が発生し難い:コスト競争が主要因

分析:

戦略論理がゲーム理論に基づく仮想市場におけるエージェント分析

マルチエージェント型シュミレータプラットホーム

*市場戦略モデル

企業の属する産業の成長率、競合の激しさ、企業の競争力で競合と競争の構造に多面的応用形が存在するが、それをモデル化する。

(1)企業環境の要因と対応する企業戦略の手法。

(2)要因の相互関係の仮説モデル。

環境

  (独立変数)

戦略手法

(従属変数)

結合度

業態成長率

売上率

機能と工程の結合度

増加

市場障壁

参入・撤退障壁難易度

機能と社内取引度の結合度

減少

市場集中度

寡占率

機能数と内部化比率

増大

協力関係

シナジー効果

アウトソーシング(社内度)比率

減少

垂直関係

川上・川下結合度

工程数と所有度比率

増大

競争関係

市場占拠率

交渉・連携・阻止

増大

(3)米国における提携比率

川上社内度

非結合(社内度 0%)

部分的結合(社内度 1~79%)

高度結合(社内度 80~100%)

33%

52%

15%

川下社内度

非結合(社内度 0%)

部分的結合(社内度 1~79%)

高度結合(社内度 80~100%)

37%

38%

25%

機能数

多(可能機能数 49%以下)

中(可能機能数 50%~74%)

少(可能機能数 75%~100%)

32%

34%

34%

工程数

一工程(工程数x付加価値 74%以下)

数工程(工程数x付加価値 75%~149%)

多工程(工程数x付加価値 150%以上)

29%

58%

13%

所有形態

契約形態(株式所有0%)

準結合(株式所有94%まで)

全所有(株式所有95%以上)

39%

23%

38%

結語

従来の成長曲線モデル(ロジステクス曲線モデル等)傾向外挿入法は線形連続、構成要素が期間内で変化しない等、静的限定条件での製品市場の成長期は、傾向外挿法による予測が経営事象に論理を与える。しかし製品成熟期に入る飽和市場では、傾向外挿入法が適用できず、ゲーム理論的戦略が採用され、新たなシュミレーションモデルが必要となる。SWARM(エージェント型シュミレーションモデル)は新たな戦略モデルを提起する。

市場占拠率を主要因とする確率論的シミュレーションに拠れば、市場においてすべかNash均衡に向かい、市場占拠率の取れない弱者の組は囚人のジレンマに陥り最悪状況の予測に基づく戦略選択を行う傾向が観測される。

複雑系市場分析と経営情報システム ーマーケテイング・サイエンスー

               日本福祉大学情報社会学部 助教授 武上 幸之助

(目次)

 序)「複雑系」カテゴリーの仮想市場分析への導入の可能性

1.複雑系市場分析

(1)数量化による定量分析限界。

(2)確率論による定性化の導入:モンテカルロ手法による複雑系市場分析

2.経営情報システム:SISへの導入

結語)

(本文)

序)

 NPOである米国サンタフェ研究所が中心となり所謂「複雑系」と呼ばれる分析アプローチが研究発展を遂げている。経営科学にも影響を持ちつつあるこの「複雑系」的手法を、本稿は市場分析に応用すべく試みようとするものである。経営科学の分析手法は数値処理手法の要求から定量分析が主流であり、定性的な分析は其の性質から分析が非常に困難である。

 本稿では市場分析においての定量分析の限界と確率論的モンテカルロ手法による定性分析導入の可能性を分析する。さらに今後のSISへの「複雑系」の導入を論じた。

 市場において製品はこれを媒体とした生産者の供給と消費者の需要の均衡点で購入決定されるが、製品を供給する企業間の競合が著しくなると、さまざまな経営戦略(市場戦略)が講じられるようになり、所謂経済的合理性とは次元の異なる手法が市場に導入されるようになる。

 市場のフレームワークをここでは仮想市場とし、限られた条件の下で、企業が競争戦略手法を行使した場合の企業行動と市場成果を分析した。さらに経営戦略の目的とする経済性をここで再確認し、経営戦略として市場に手法が導入された結果を分析し考察する。

1.「複雑系」市場分析 -定量分析の限界―

「複雑系」と呼称される分析手法が、大きな影響を持つようになり、本来は自然科学で利用される機会の多かった手法が経営手法にも採用されている。その骨子となる概念は、以下に掲げるように極めて複雑な要因で成り立つ事象を可能な限り細分化して単純化した要因を分析して、この成果を総合的に敷衍し帰納的に事象を解析する手法である。いわばデカルト的な分析手法であり、自然科学における分析手法としての再現性などに利点となる特徴がある。この要因の単純化の手法には経営科学、行動科学、オペレーションズリサーチ等が多く利用される。特に再現方法としてのシュミレーション技法がその中心概念である。事象の背後に潜む因果律を分析し、新たな事象に適用することにより様様な成果が期待できる。

特に社会科学において「複雑系」的分析は、大きな示唆を与える手法と考えられる。

(研究手法)

本稿では、所与の条件下での製品市場(仮想市場)での企業戦略の性質、手法の特徴などから、製品価格、出荷数量、流通速度等定量分析に適すると考えられる市場要件と消費者の嗜好、企業戦略等ゲーム理論的な定性分析に適する市場要件とに分類し、相互の関連についても論じていく。

(前提)

(1)市場構成要件の中で、定量分析の限界を指摘する。

定性的情報によりどの程度、意思決定に影響があるのか、どの程度、不確実性をもつのかにより定量化する。

*パラメータの設定基準を構築:数式モデルを細分化して場合分けに対応。多様化に対応。

*企業の市場行動ではゲーム理論的論理に基づく行動原理が作用する傾向があるため、確率モデルを導入する。

(2)「複雑系」概念の市場分析導入

 予測シュミレーション「企業における生産活動や販売活動において合理的かつ経済的な意思決定を行うために人や組織の行動、現象を数量的モデルに置き換えて科学的分析を施し、その実施に有効な情報を提供する原理、手法」を市場概念に導入する。

即ち、「実験ー解析ー統合」のプロセスがコンピューター技法により可能になり、分析環境が整い、再現性が発揮できる。またウィーナー「サイバネテイクス」のアイデア、即ち定量的制御が可能になる。

 複雑系手法の特徴を以下に掲げると、

*複雑系分析の中心は多変量解析であり、データからの推論を実証する。

*サンタフェ研究所の主唱とする手法のテーマは「複雑系の科学:第一原理は発見できないか無数の原理が複雑に入り組んだ多体相関系に潜む法則性の発見」である。

*シュミレーション:複雑系への理論アプローチ

(利点)複雑な事象の解明。仮想条件から最適条件での観察が可能。経済性の向上。新たな問題提起が可能となる。

(不利点)単純化する際の重要要素欠落の惧れ。定性分析に限界。

(予知できること、出来ぬことは問題の性質による)

*複雑なシステムを理解する概念を獲得できる可能性。

*統計科学では「複雑なシステムにおける情報の流れを統計モデルのツールを用いてデータから抽出し複雑な事象を理解する」

これは演繹的に仮想世界を構築する複雑系に対して、事象を帰納的に分析する手法である。

事象を基本原理に当てはめて論理的な説明を加える。

(事例)

*統計的モデリングの要点(情報量基準AIC。汎用モデル。計算法:非ガウス型フィルタ)

AIC(赤池情報量基準)=-2(対数尤度)+2(パラメータ指数)

同式は対数尤度でパラメータの2倍を補正しバイアス修正が可能となる。

*予測手法

1.KullbackLeibler情報量による評価

2.K-L情報推論とバイアス修正

これにより他のモデルと同じ条件で比較できる。

K-L情報量モデル

g(x):真の分布  f(x)モデル

I(g、f)=Еrlog・g/f=Еrlog・g-Еrlog・f

Еrlog・f(y)=∫logf(y)d・g(y)

対数尤度

Σ(g・f)を最小⇔Εrlog・f(y)を最大=AIC最小

*事象情報・データ → 統計モデル → 情報判断

                   (最尤法/AIC基準:モデル判定)

(注)参考「総合研究大学:国際シンポジウム」 1999.13.March 

「複雑系への戦略:Strategy for Complex systems

デカルト方法序説:要素還元手法:複雑、無秩序な現象を、単純化した事象に抽象化して還元して要素間の因果律、法則性を予見する。

*平衡性ー非平衡性       *可逆性ー非可逆性

*線形性ー非線形性              *決定性ー非決定性

*飽和性ー非飽和性              *安定性ー不安定性

 (経営科学としての予測)

(事例)

予測手法

*経済予測

(1)時系列分析

(2)回帰分析

(3)計量経済分析

(4)産業関連分析

*需要予測

(1)内部予測(時系列分析・指数平滑法)

(2)外部予測(回帰分析法・弾力性分析・計量経済モデル分析)

*予測技法

(1)直観予測(デルファイ・クロスインパクトマトリックス・クロスコリレーションバジェステイング)

(2)探索予測(外挿法・シナリオ・ツリー(関連樹木)・シュミレーション・インプットアウトプット)

(3)規範予測(ネットワーク・マトリックス・関連分析)

*傾向外挿法:

過去、現在の傾向線を延長して将来を予測。予測の対象が連続線形、定常的であることを仮定。

外部作用には対応できない。この手法には(1)関数当てはめ法(2)包絡曲線法(3)傾向相関法等がある。

*関数当てはめ法:一次直線、二次曲線、指数曲線、成長曲線

*一次式(y=ax+b)の係数決定は最小二乗法でおこなう。

曲線モデルは正規方程式で計算。

事象yの単位時間当たりの変化dy/dt(進歩速度)が一定値aの近似に集まるとき 

一次式y=at+bに当てはめうる。

*二次式(y=at/2+bt+c)

現象yの単位時間当たりの変化率d2y/dt2  (進歩加速度)が一定値aの近似に集まるとき

*指数曲線

現象yの単位時間当たりの変化率dy/dtと、その値yとの比率(成長率)が一定値aに近似する。

即ち1/y・dy/dt=aであるときy=Aeatとなり指数関数を当てはめることができる。

対数を取りY=lnyとすると、Y=at+cとなり一次式となる。ここでc=lnA.

指数関数の当てはめには、縦軸を対数目盛りである2次平面で一次式を当てはめる。

事例:特に技術進歩など。デザインルールの事例(集積回路)

*成長曲線の当てはめ

現象yの成長率が一定でなく、ある限度Lに接近するにつれ成長率が減少する傾向、即ち

1/y・dy       /dt=a・(1-y/L)

と表現できるとき

y=L/1+me-at

となり、この指数曲線を成長曲線(ロジステックス曲線)と呼称する。

耐久消費財の製品市場拡散が、試験期、市場浸透期、安定期、衰退期、を経過すると説明される。

特に需要予測の場合に用いられる。

事例:蛍光灯、白熱電球の拡散には、正確な精度(パール1920年)

なお、成長曲線の飽和限界Lを含めた係数は、線形式に最小二乗法を適用して決定する。

*包絡曲線法

この手法は技術予測分野で開発された外挿法の一つである。個別技術が総合的に統合され技術エスカレーションが観測される

(個別技術の包絡曲線を推測しうる)

事例:輸送手段の高速化

粒子加速装置のエネルギー増大化

照明手段の効率化

*傾向相関法

異種の現象相互間にタイムラグをもった相関関係がある場合、相関関係を分析することにより先行現象傾向から遅行的現象傾向を予測する外挿法の一つである。

事例:戦闘機と輸送機の最大速度の比較分析。(最先端の技術進歩を利用する戦闘機と安全性を第一とする輸送機との間にはタイムラグを持った相関関係がある/そのため先行技術と時系列にタイムラグをとり輸送機に技術が採用されることが推定される)                                 

参考文献「システム技法」:竹村伸一、日本理工出版会  1999   

(注1)離散系シミュレーション

乱数発生:乱数(どの数も等しい確率で、不規則になるように選択た数字列であり、コンピュータで発生させる乱数は真の乱数ではなく擬似乱数である。

擬似乱数の条件:

①周期が長い。同じ数列が繰り返し出現する間隔

②統計的検定に耐えうる。χ二乗検定、ポーカー検定

③再現性があること。異なるモデルを比較するのに必要

④乱数発生のスピードが速い。繰り返し実験の有効性維持

C言語での擬似乱数発生

rand()関数:rand 関数を用い整数の乱数を発生させることができ、再現性が得られる。

srand()関数:srand 関数を用いrand 関数を初期化し、乱数を変えることが出来る。

srand((unsigned)time(null));

(注2)ゲーム理論:

競合相手の行動を予測して自己の行動を決定する相互戦略的対立を想定して企業間の経済行動を分析する理論分析。

*従来の経済学的アプローチでは、市場を所与のものと捉え、個々の経済主体は市場で決定される価格に適応して極大行動をとると見なされていた。

*少数大規模企業間競争では企業間相互関係が問題となりゲーム理論が重要になる。

*寡占価格:

寡占企業間で価格均衡する場合、一社が価格切り下げを行うと、た企業も追随して、切り下げ競争が生じる。企業間競争を安定化させるため価格先導者(プライスリーダー)の決定した価格に他企業が追随するようになった。

EX米国USスチールの管理価格:限界企業が成り立つように、また新規企業が参入しないように価格上限と下限を定め、其の範囲内で価格を決定して各社これに従った。耐えず一定利益が出るように建値して需給に関係なく長期間据え置きされた。賃金上昇を理由に価格を上げると各社之に追随した。

*米国独占禁止法

反トラスト法:条理の原則(rule of reason)から違法原則(per se illegal)へ移行。

企業分割、営業権譲渡など独占体制の排除、参入障壁を低くする政策を主な目的とする。

EX。XEROXに対して市場支配力を低めるため特許使用の無償化。アルコフ社に競争企業の育成を行わせる。

*価格調整。数量調整

需要と供給が変動するとき、一次産品は価格が変動して需要調節する。(価格調整)

之に対して工業品は大量生産と製品差別化が進み需給変化に対し、生産調整で対応し定価、建値は長期間変動しなくなった。(数量調整)

*規模と範囲の経済性

規模の経済は巨大企業を生み、産業内の企業数を減らす集中化現象を生む。

範囲の経済は多角戦略であり新規参入を招く。

*フルコスト原則

大量生産の工業品では間接費が膨大になり生産量が増えるにつれて製品当たりの間接費は減少する。直接費(原材料、賃金)は一定である。そこで製品単価決定のとき、直接費を定め、目標利益率を勘案しへ価格を割り振る。

*参入障壁

技術上の問題/特許、産業密度、関連企業の存在、

*社会アンバランス

利益を生む民間経済分野には資本と労働力が集中するのに対し、利益の低い分野では停滞があること。

*対抗力countervailing power

市場を規制するメカニズムは競争である。市場で消費者の背後に供給者間の競争が存在する。

(注3)成熟市場における需要予測は市場構造分析と競合状況の構造に大きく依存する。

1.競合状況と市場取引関係

成熟市場では、市場外からの新規需要の要因が小さければ、需要予測は市場内の競合状況に大きく依存する。また市場と取引関係にある上流、下流との関係、及び市場規模や市場自体の成長性よりも市場構造を決定付ける競争状態の方が大きな要因である。

1‐1.市場構造分析と競合状況の構造

競争条件

完全

寡占

独占

競争者数

多数

少数

製品差別化

小さい(製品同質)

大きい(製品異質)

参入の自由度

自由

不完全

不能

退出の自由度

自由

不完全

不能

情報の完全性

完全

不完全

競争者数:企業数と規模分布

業界内企業数が多きいほど、各企業の規模格差が小さいほど業界全体としてあげうる収益の上限は限られる。

(指標)累積マーケットシェア、規模の不統一性を表すジニ係数、ハーフィンダール係数

製品差別化:製品の同質性。商品の持つ機能的差別化、イメージ上の差別化、サービスの差別化により、価格面での競争よりも販売促進上の差別化が中心となる。

参入の自由度:新規参入の難易度。規模の経済性、最小最適規模の大きいほど参入に伴うコストも大きくなる。埋没費用(サンクコスト)の固定費部分の大きい業界では新規参入が困難になる反面、コンテスタブル市場状況に至る。経験効果:ヘンダーソン原則。

その他、流通チャネルの排他性、特許、ノウハウ、立地、政府のインセンテイブ。

退出の自由度:産業、業種転換できる自由度。サンクコスト(埋没費用)の固定費率が大きいと生産設備過剰である状況を回避し難い。生産設備のサンクコスト化が回避できるかどうかは参入障壁にも関連する。

情報の完全性:

1‐2.競争分析

市場構造と需給バランス:成熟市場における需給バランスは、競争状況により大きく影響を受ける。競合する供給者がどのくらい供給量を増やすか、新規市場参入者がどれほど価格を引き下げ参入するか、競合者が過剰供給分をどれほど撤回するか、である。

市場内での競合企業が多数であるほど競争成果による経済厚生が高まるという経済理論である。

*用語定義

需要予測の指標:投資収益率(ROI)で示す市場成果

市場構造:各企業の競争行動や企業間の協調行動により個々の企業や業界全体の収益率、製品や生産工程の革新率が決定する。

完全競争状況:

競争者 

製品差別化

参入自由度

退出自由度

市場情報

多数

同一

自由

自由

完全

完全競争状況から乖離し不完全競争になるほど各企業は市場成果を獲得できる。

(参考・引用文献)

(1)宮川公男「意思決定の経済学Ⅰ マネジリアル・エコノミックス」丸善83年

   pp31-32、pp55

(2)片平秀貴「マーケテイング・サイエンス」東京大学出版会97年pp31-35

(3)服部正太「SWARMを利用した人工市場モデルの応用」

(株)構造設計研究所HP 99年

(4)J.A.Howard「消費者行動」八十川睦太訳 新評論 82年 pp22

(5)F.M.Nicosia「消費者の意思決定過程」野中郁太郎訳 東洋経済 79年

(6)石渡・島村「パソコンによるマーケテイング・モデル解析」[1][2]  共立出版社85年

(7)大阪産業大学「物流のシステムダイナミックス」http://www.dis.osaka-sandai.ac.jp

(8)渡辺武 小林弘和 井上友幸「戦略経営技術とコンピュータ」ケイエイ出版S63

   計画業務とシミュレーション pp45―49

(9)宮川公男「意思決定の経済学」丸善 S58

10)(社)日本オペレーションズ・リサーチ学会

「オペレーションズ・リサーチ」2001.4

11)


[1] 石渡、島村「パソコンによるマーケテイングモデル解析」共立出版 ‘85 p1-3

[2] 連続系シミュレーション言語にはCSMP,SD(DYNAMO)がある。

[3] 離散系シミュレーション言語にはGPSSSIMSCRIPTGASPSLAMがある。

[4] 従来IBMIndividual Based Model)と呼称され、各エージェントが経済合理性に沿って行動し、エージェント集合の系が平衡状態にあるという数理統計モデルのアプローチと異なり、エージェントを発生させ人工市場を作り出しシミュレーションするフラクタル技法。

[5] 「複雑系とマルチエージェント」(株)構造計画研究所http://www2.kke.co.jp

[6] マルチエージェントベースモデル(ABS)では、①信号機モデル②イルミネーションモデル③ゴキブリモデル④ガスモデル⑤カメの分居モデル⑥オオカミとヒツジモデル⑦森林火災モデル⑧勢力均衡モデル⑨足跡モデル⑩ぶつかりモデル⑪ボールモデル⑫避難モデル⑬口コミモデル⑭交通モデル⑮キッチンモデル⑯逃亡者モデル等がある。(株)構造計画研究所http://www2.kke.co.jp/ABScommunity_sample.html

[7] 完全情報有限ゲームでは純粋戦略のナッシュ均衡が存在する。(シェロメロ定理)


[i]  予測シミュレーション「企業における生産活動や販売活動において合理的かつ経済的な意思決定を行うために人や組織の行動、現象を数量的モデルに置き換えて科学的分析を施し、その実施に有効な情報を提供する原理、手法」を市場概念に導入する。即ち、「実験ー解析ー統合」のプロセスがコンピューター技法により可能になり、分析環境が整い、再現性が発揮できる。またウィーナー「サイバネテイクス」のアイデア、即ち定量的制御が可能になる。

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