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海商法(概要)

海商法

1総論

  1海商法(海上企業に関する私法)

  2国際海上物品運送法(1924年船荷証券統一条約)

  3ヨーク・アントワープ規則(共同海損の国際的な普通契約約款)

2船舶

  1商法上の船舶

   1商行為をなす目的をもって航海の用に供するもの。

   2端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟には適用なし。

  2船舶所有権の対抗要件

   1総トン数が20トン以上の船舶は、登記をなし、船舶国籍証書に記載すること。

   2登記しない船舶は、引渡。

3海上企業者

  1船舶所有者

   1船主の責任制限

    ☆船舶所有者の責任の制限について述べよ。

      1船舶所有者は、遠く海上にある船舶に対して自ら指揮監督をなしえないにも関わらず、船長、船員の

       行為につき損害賠償責任を負わなければならないが、海上企業の性質上、その責任が巨額となり危

       険も大きいことから、海運業を保護すべく、船主の責任制限が要請されてきた。

      2船主責任制限の立法例としては、四つの考え方がある。

       (1)委付主義

          フランス法系、旧法の立場で、船主は原則として人的無限責任を負うが、航海の終わりにおける

         海産を債権者に委付すれば免責される。

           →委付の有効性につき争いが生じやすいという欠点がある。

       (2)執行主義

          ドイツ法系の立場で、船主は全額につき債務を負うが、責任は海産に限られるとするもの。

           →船主が船舶の修繕を怠り、債権者の執行が困難になる欠点がある。

       (3)船価責任主義

          従前のアメリカ法の立場で、船主は原則として航海の終わりにおける海産の価額を限度に有限

         責任を負うが、海産を委付すれば免責されるとするもの。

           →船価の決定が困難という欠点がある。

       (4)金額責任主義

          イギリス法、現行法の立場で、船主の責任を事故毎に定め、かつ責任額を当該船舶の積量トン数

         に応じて制限するもの。

      3日本は、1957年船主責任制限条約を批准し、昭和50年商法を改正して、船主責任制限法を制定して、

       委付主義から金額責任主義に改めた。

 

    2油濁損害賠償保障法

   2船舶共有者

    1船舶の利用に関しては、持分の価格の過半数をもって決し、利用に関する費用の負担も持分の価格に応

     じて行う(内部関係)。

    2船舶の利用につき生じた債務は持分の価格に応じて責任を負い、船舶管理人を選任しなければならない

     (外部関係)。

   3船舶賃借人

    1他人の船舶を賃借し、商行為をなす目的をもって航行の用に供する者。

    2船舶の利用に関する事項につき、第三者に対して船舶所有者と同一の権利義務を有する。

    3船舶の利用につき生じた先取特権は、船舶所有者に対しても効力を生ずる。

    4賃借権の登記。

    5裸傭船契約とも。

4船長

  1船長

    1商法(私法上の権限・義務)

    2船員法(公法上の権限・義務)

  2船長の地位・権限

   ☆海商法上の船長の権限について述べよ。

    1船長とは、特定船舶の乗組員で、船舶の指揮者として、船舶所有者の代理人として種種の私法上、公法

     上の権限を有する者をいう。

    2船長は船舶所有者、船舶管理人、船舶賃貸人により選任されるのが原則であるが、船舶は海上遠くはな

     れたところで航海するものであるので、その権限については次のような特色がある。

     1船主のための代理権

       1船籍港

          特に委任を受けた場合の他は、海員の雇入・雇止をする権限のみ。

       2船籍港以外

          航海のために必要なる一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限

          但し 1船舶を抵当に入れ、借財をなすこと

                航海を継続するために必要な費用を支弁するため

              2船舶の売却

                修繕不能時に管海官庁の認可あれば可。

              3積荷を航海の用に供し、売却、質入

                航海継続のため(但し船主は損害賠償請求)

     2積荷の利害関係人のための代理権

       1積荷を処分する権限(積荷を海上危険から保護)

     3その他

       1死亡した旅客の手荷物の処分

       2救助料支払に関する権限

       3違法無契約の船積品の処分

       4運送品の供託権等

5債権者

  1船舶先取特権

   ☆船舶先取特権について述べよ。

    1船舶先取特権とは、船舶に関する特定の債権を有する者が、その船舶、属具及び未収運送賃の上に有す

     る先取特権をいう。船主が航海継続の必要上、資金等の提供を受けなければならないときに、債権者が

     安心して提供しうるよう、確実な担保権を付与した制度である。

    2船舶先取特権を生ずる債権は法律上制限列挙されている。

    3船舶先取特権の目的は、①船舶・その属具、②未収運送賃に限定されている。

    4船舶先取特権の効力は、一般の先取特権と同様に優先弁済的効力を有する。船舶先取特権間の順位は

     法定され、他の一般債権に対してはもとより、他の先取特権、船舶抵当権に対して優先する。

    5船舶先取特権の消滅は、一般原則の他、次の場合がある。

     1発生後1年経過

     2船舶の発航

     3船舶が譲渡され、譲受人が先取特権者に対し、一定期間内に債権の申出をするよう公告した場合に、

      その期間内に申出がなかったとき

 

   2船舶抵当権

    ☆船舶抵当権

     1船舶抵当権とは、登記された船舶を目的とする抵当権をいう。

     2船主が資金を借り入れるとき、質権を設定しては船舶を利用できなくなるので、法は登記船について、

      船舶を利用しながら担保に入れる制度として船舶抵当権を認め、その代わり質権の設定を禁止した。

     3船舶抵当権の目的は、登記した船舶に限られ、属具にも及ぶが、金融の便を図るため、製造中の船

      舶にも設定が認められる。

     4船舶抵当権の効力は、不動産の抵当権と同一で、優先弁済的効力を有する。したがって船舶抵当権

      間の順位は登記の先後により、一般の先取特権にも優先する。しかし船舶先取特権には劣後する。

 

   3強制執行

    1船舶執行

    2差押・仮差押

6海上物品運送契約

  1海上物品運送契約の種類

   1海上運送

     傭船契約(全部傭船と一部傭船、航海傭船と定期傭船)

     箇品運送契約

    ☆裸傭船契約(船舶賃貸借契約)、定期傭船契約及び航海傭船契約の三者を比較、論述せよ。

     1まず、裸傭船契約とは、船舶賃借人が船舶所有者から船舶を賃借して、商行為をなす目的をもって航海

      の用に供する場合をいう。

       この場合は、賃借人が自ら海上企業者として行動し、船舶所有者は企業主体たる地位に立たない。

      そのため船舶の利用に関する事項につき第三者に対して権利義務を負う者は船舶賃借人とされ、船舶

      所有者は自己にも影響が及ぶ先取特権についてのみ効力が及ぶものとされているに過ぎない。

     2次に航海傭船契約とは、船腹の全部又は一部を船舶所有者が傭船者に貸し切って物品の運送を引き

      受ける契約のうち、航海を単位になされるものをいう。

       この場合、海上企業者として行動する者は、あくまでも船舶所有者であり、傭船者は賃借人と異なり、

      企業主体たる地位に立たない。また、船舶所有者は、賃借人が第三者と運送契約を締結しても、その

      第三者と全然無関係であるのに対し、傭船者が第三者とさらに運送契約を締結した場合には(再運送

      契約)、船舶所有者だけが契約の履行が船長の職務に属する範囲において、第三者に対し履行の責任

      を負う。傭船者に船長に対する指揮監督権限がないことを考慮したものである。

     3最後に定期傭船契約とは、船舶所有者が一定期間、船舶の全部を船長つきのまま定期傭船者に貸切

      り、しかも船長を定期傭船者の指揮のもとに置く場合をいう。

       商法に規定がないため、法的性質につき争いがあるが、定期傭船者は、船舶を利用して海上企業の

      主体となり、しかも船長を指揮し、一方船舶所有者は傭船料を収受するにすぎない点に着目すれば、船

      舶賃借人に準じて取り扱うべきである。

       国際的にはボールタイム書式が普通契約約款として利用されている。

 

    2特殊の海上物品運送契約

      再運送契約(傭船者がさらに第三者と運送契約)

      通し運送契約(数人の船主が同一の運送契約に運送人として関与)

  2海上運送人の義務

   1船積に関する義務

     1船舶回航義務

     2船積準備整頓通知義務

     3停泊義務

     4運送品の受取 船積する義務

    2船荷証券交付義務

     ☆船荷証券について述べよ。

      1船荷証券とは、運送品の受取を証し、かつ陸揚港においてこれと引換えに運送品を引き渡す義務を

       負担する有価証券をいう。

      2傭船者又は荷送人の請求より、船長が発行するのが原則であるが、船舶所有者は他の者に発行を

       委任できる。

         受取後船積前に発行されるのが受取船荷証券、船積後に発行されるのが船積船荷証券という。

       そして内航船については商法が、外航船については船荷証券統一条約に基づく国際海上物品運送法

       が適用される。

      3船荷証券には貨物引換証の規定が準用され、その効力として債権的効力、物権的効力が認められる

         債権的効力とは、証券所持人が運送人に対し、運送契約上の履行を請求しうる効力をいう。そして

       これを受けて商法は船荷証券を文言証券とし、国際物品運送法も証券上の事実と異なる記載を善意

       の所持人に対抗し得ないとしている。しかし船荷証券は運送契約に基づいて発行される有因証券なの

       で、空券等の場合に文言性と有因性との関係が問題になる。

         思うに具体的な運送品の引渡請求権を表象する船荷証券にあってはいかに証券上記載があると

       いっても、現実には存在しない物を引き渡す義務を課すことはできないから、有因性を重視すべきであ

       り、空券時の証券は無効とすべきである。ただ、取引安全を図るために「運送に関する事項」について

       文言証券としたのであるから、ここに「運送に関する事項」とは、運賃等の比較的軽微な事項のみにの

       み及ぶと解すべきである。

         物権的効力とは、証券を権利者に引き渡したときは、その引き渡しは運送品の上に行使する権利

       の取得につき運送品の引き渡しと同一の効力を有するという効力をいう。

         この法的構成についても争いがあるが、独立の占有移転原因として証券の引き渡しに運送品の引

       き渡しと同一の効力を認めたものと考えるべきである。

 

     3航海に関する義務

      ☆堪航能力担保義務

       1船舶所有者は傭船者又は荷送人に対し、発航の当時、船舶が安全に航海をなすに堪えることを担保

        する義務を負う。これを堪航能力担保義務という。例えば、船員の乗組み、船舶の艤装、需品の補給

        がなされているときに堪航能力があるとされる。

       2船長は発航前に堪航能力を検査する義務を負う。

       3内航船は商法により、船舶所有者(海上運送人)は堪航能力を欠いたことにより生じた損害につき無

        過失責任を負うが、外航船は国際海上物品運送法では過失責任としている。しかし、その場合でも、

        無過失の挙証は運送人に負わせ、特約によっても責任を免れないものとされている。

       4船舶保険、積荷保険では、堪航能力を欠いたことは保険者の免責事由となる。

 

     4陸揚に関する義務

  3海上運送人の責任

    1運送品の滅失、毀損、延着の責任

    2責任の免除・制限

  4海上運送人の権利

    1船積・書類交付の請求権

    2運送賃請求権

    3荷受人に対する権利

    4海上運送人の債権の担保

  5海上物品運送契約の終了

    1荷送人の任意解除

    2不可抗力による任意解除・当然終了

7海上旅客運送契約

  1海上旅客運送契約

    旅客の航海中の食料は船舶所有者の負担とする。

8海上企業に伴う危険の対応

  1共同海損

   ☆共同海損

     1共同海損とは、船長が船舶及び積荷を共同の危険から免れさせるため、船舶及び積荷に対してなした

      処分により生じた損害及び費用をいう。

       これは、船舶及び積荷からなる共同危険団体が、海上危険に遭遇した場合に、団体全体を救うために

      その部分である船舶、積荷を犠牲にすることを認め、それにより生じた損害、費用を共同危険団体の利

      害関係人により公平に分担されるものとしたものである。国際的にはヨーク・アントワープ規則に従って

      なされている。

     2精算は、船長が精算人を用いて行い、分担請求権が確定する。分担請求権には船舶先取特権が認め

      られる。

 

   2船舶衝突

    ☆船舶衝突

     1船舶衝突は、海上固有の不法行為の一場合であり、その技術的性格から商法は特別の規定をおいてい

      る。そして渉外事件には、船舶衝突条約の適用があるので、商法は国内事件についてのみ適用されるこ

      とになる。

     2まず、船主間においては不法行為法の適用があり、積荷、旅客との関係では、債務不履行の問題が生

      じうる。

     3しかし、船舶が双方の船員の過失によって衝突した場合において、双方の過失の軽重を判定できないと

      きは、その衝突によって生じた損害は、各船舶の所有者が平分して負担するものとされる。

     4船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権は共同海損と同様に、1年の短期消滅時効に服する。

 

   3海難救助

    ☆海難救助

     1海難救助とは、船舶又は積荷の全部又は一部が海難に遭遇した場合に義務なくして救助することをいう

      渉外事件には条約の適用があるので、商法は国内事件についてのみ適用される。

     2海難救助者には、救助料請求権が当然に発生し、船舶先取特権の保護をうけ、1年の短期消滅時効に

      服する。

     3人命のみの救助は海難救助とはならないが、共同救助時に人命を救助した場合には、救助料請求権が

      発生する。救助料は、特約がないときは救助された船舶の価額、積荷を限度とする(物的有限責任)。

     4船長は救助料債務者(船長・荷主)に代わって支払に関する裁判上裁判外の行為をする権限を有する。

 

   4海上危険

    ☆海上危険

     1海上危険とは、航海に関する事故によって生ずることあるべき損害の填補を目的とする保険契約をいう

     2保険事故は、航海に固有な沈没、衝突等に限られず、火災や船員の非行等も含む。

     3保険期間は、一定の期間(定時保険)、特定の航海(航海保険)、両者を合わせたもの(混合保険)があ

      る。

     4被保険利益にも種種あり、商法に規定があるものは、船舶、積荷、希望利益、運送賃保険である。

     5被保険利益につき航海に関する事故によって生じた損害で、事故と相当因果関係にあるものは、すべて

      填補するのが原則である。

     6また、保険の目的が全損したとみられる場合に、被保険者が直ちに保険金全額を請求することを許し、

      その代わり被保険者が保険の目的について有する権利が保険者に当然移転することにしたのが、保険

      委付の制度である。海上保険特有の制度である。

海事代理士 関係HP より出典 (http://www.interq.or.jp/white/ishiyama/quali1.htm

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